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「ゾクセイ(属性)」というデータとビジネスをつなぐ共通言語を活用したマーケティング分析とは?

第3回

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 前回は、データ分析をビジネス上の成果につなげるために「ビジネス人材」と「データ人材」のコミュニケーションが極めて重要であるというお話をしました。また、その際に、両人材の共通言語として「ゾクセイ(属性)」を活用することがポイントとなると述べました。今回は、その「ゾクセイ」に関して、掘り下げていきます。

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データ活用に必要な「ゾクセイ」の階層構造とは

 属性という言葉は、英語ではattribute(アトリビュート)もしくは、property(プロパティ)に相当します。ここでは、この二つの英単語について詳しく見ることは控えますが、いずれにしても「ある固有のものが保有する性質」といった意味で捉えていただけば良いと思います。違う言い方をすると「特徴」とか「独自性」のようなものです。

 私の所属する株式会社ギックスでは、これを「ゾクセイ」と呼び、データ分析において「対象物を理解するための評価軸」として定義しました。言い換えれば「対象物をうまく表現できる特徴」です。例えば、顧客分析であれば「月に3回以上来店する人」「週末2日間の購買金額が平日5日間の購買金額を上回る人」などといったものになります。

 お気づきの通り、「月に3回以上来店する人」は「常連客」というフラグであり、「週末2日間の購買金額が平日5日間の購買金額を上回る人」は「週末に良く買う人」というフラグになっています。もちろん、業態や店のタイプ・立地によって、常連の定義が「月に1回」のことも「週に2回」のこともあるでしょうから、上述したゾクセイが常に有効なわけではありません。しかし、このような具体的な「ゾクセイ」で表現することで、ビジネス人材とデータ人材が誤解なく情報交換できることは、容易にイメージできるのではないでしょうか。

 こうしたゾクセイは、階層構造で捉えることができます。私たちギックスでは、これを静的なゾクセイから、行動ベースで決まる動的なゾクセイ、また、そうしたゾクセイによって規定される新たなゾクセイといった形で、多元的に定義しています。また、この考え方を用いたマーケティングのアプローチを「ゾクセイマーケティング」と呼んでいます。

ゾクセイマーケティング
資料提供:株式会社ギックス

 もっともシンプルなゾクセイが「1次属性」です。これは、一般的なデモグラ情報と同じものだと捉えていただいて結構です。これは、ヒトやモノに紐づいて一義的に決まるゾクセイです。もちろん、住所や勤務先は、転居や転職によって変わりますが、そうしたものは「購買行動」とは異なるお話ですので、切り分けてとらえています。

 続いて「2次属性」です。(1.5次属性については、後程ご紹介します。)先ほどの1次属性が「静的」なものだったのに対して、これは「動的」なゾクセイになります。連続的な行動を俯瞰してみることで、そのヒトやモノの特徴を見出していこうというアプローチです。この「2次属性」が、ゾクセイを用いた分析のベースになっています。2016年に商標登録も行っています。

 2次属性は、例えば購買行動のお話であれば、「一定期間内にどれくらいの量・金額を買っているか」「一定期間内にどれくらいの頻度で来店したか」「来店や購買は、どういう曜日、どういう時間帯に偏っているか」「一店舗だけの利用か、複数店舗を利用しているか」などの観点で、顧客行動を理解していくというお話です。このように、行動(ビヘイビア)を軸にして、顧客を理解しに行こうという考え方が、ゾクセイマーケティングの基本的な考え方です。

 なお、過去の仕事の履歴を用いて何らかの分析をしたいというような場合には、先ほど1次属性として取り扱っていた転職履歴や社内の所属部署などを「行動」データとして取り扱うこととなります。そうしたデータから「転職回数が多い人」「平均在籍期間が短い人」などの観点で2次属性を導き出すわけです。何を静的なゾクセイとして取り扱い、何を動的なゾクセイとして取り扱うのかは、分析の目的次第で異なるわけです。

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この記事の著者

田中 耕比古(タナカ タガヒコ)

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