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ISO56000シリーズの誤解と本質──効率経営からイノベーション経営へ移行する組織デザインとは?

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日本でイノベーションが起きない最も大きな弱みが「エコシステム」

 最近日本企業の弱みは何かが盛んに議論されている。国際的なランキング調査ではスイスのIMDのそれがよく知られているが、ここでは自社の経営力の弱みに焦点があたる。また、英・エコノミストの分析(イノベーション指数)によれば、日本は政策やコンプライアンスの面では高位にあるが、イノベーションのための社会経済基盤(例:教育、指数としては平均以下)、そしてイノベーションのための組織能力やハブ(場)において弱いということが指摘されている。ただし、自社だけの努力ではどうにもならないこともある。そこで重要なイノベーションのテーマになるのが「エコシステム」だ。

 イノベーション・マネジメントシステムのためにISOは、自社組織内部だけに適用されるものではなく、共通言語や共通の物差しとして活用すべきものだ。元来IMSは単に一企業のために生み出されたものではない点が重要である。世界各国60カ国の企業がこのIMSを自国の競争力やイノベーションのエコシステムの強化のために考え始めた。

 想定されるのは「IMSを元にしたエコシステムの時代の到来」である。それは日本企業にとっては新たな勝ちパターンを見出すための手立てとなる。オープンイノベーションは1対1の時代から複数プレイヤーの時代、そして地域や特定の産業目的のために形成されるエコシステムの時代に入っている。そこで求められるのは、様々なパートナーにおいて共通するシステムであろう。

 これまでイノベーションと言うと、スタートアップへの投資が主眼であったが、世界としてはこの形態から第3のイノベーションの時代、つまりエコシステムの時代に入っている。ここでは産官学のレベルでの国家あるいは地域、市場のエコシステムの形成がカギになる。そのための共通言語や尺度となりうるのがIMSであり、そこで国際的に合意されたフレームワークであるISO56000シリーズを活用することが肝要だ。「大企業対スタートアップ」という構図をいたずらに煽らないということは言うまでもない。

「ISO56001」認証への動き

 ISOが今後いかに認証規格として展開されるかが読者の関心ではないだろうか。最後にこの点に言及したい。

 規格自体は9月10日に発行しているが、認定団体、認証団体の整備はこれからで、現在は認証取得することはできない。要するに、日本国内での認証体制が整うのかなどは現時点では不明である。一方、海外(特にヨーロッパ)では多くの国ですでに認証制度の整備が始まっており、日本よりも早く認証が開始になると想定されている。

 ヨーロッパ内では、研究開発基金等のクライテリアにISO56001が利用される可能性があるということで、多くの国ではその前提で動きを加速させている。日本企業でも海外で活躍されている企業が多いので、そういった海外の動向にも是非注視してほしい。

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この記事の著者

紺野 登(コンノ ノボル)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

尾﨑 弘之(オザキ ヒロユキ)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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