デロイトトーマツは、中外製薬の協力を得て、量子コンピューターの社会実装が望まれている創薬分野で、合理的な薬物デザインへの量子コンピューター適用に向けた実証を開始していると発表した。
同実証は、量子分野のグローバルトレンドに精通し、量子アルゴリズムに知見を持ったサイエンティストを有するデロイトトーマツが、創薬分野の知見を有する中外製薬と連携することで、「誤り耐性量子コンピューター」(以下、FTQC)の実用性を実証するもの。これによって、合理的な薬物デザインへの量子コンピューター適用の早期化を目指し、創薬プロセスの変革につなげるという。
- 実証期間:2024年8月~2025年6月(予定)
- 実証手法:現行のいわゆる古典コンピューター上に模倣された量子シミュレーターを用いて量子化学計算と呼ばれるシミュレーション手法を検証。このシミュレーターで計算可能な範囲は限られるが、FTQC実現時のインパクトやハードウェアリソースを見積もれるという。また、その過程で、量子化学計算における標的タンパク質と薬物の相互作用モデリングと次元圧縮技術を確立し、組み合わせることにより、標的タンパク質と薬物の結合シミュレーションに必要なハードウェアリソースの削減を試みる。これにより、合理的な薬物デザインへの量子コンピューターの実用化の早期実現が期待されるとしている。デロイトトーマツは参画するサスティナブル量子AI(SQAI)研究拠点の枠組みを通じ、FTQC×量子化学分野における第一人者である慶應義塾大学 杉﨑研司特任准教授の支援によってこれまでに技術的な知見を蓄えており、今回の実証にも活用するという
- 期待される成果:FTQCが実用上優位になる時代に必要な量子ビット数、ゲート数といったハードウェア要件を推定し、世の中のハードウェア開発動向と照らし合わせることで、いつどのような応用が見込まれるかの見通しにつなげる
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