Relicは、デジタルインファクトと共同で、新規事業開発におけるブティックコンサルティング市場に関する調査を実施した。
大企業から中小企業へ、広がりを見せる新規事業開発
技術革新や消費者ニーズの多様化、既存事業における市場のシュリンクなどを背景として、企業においては新たなサービスやビジネスを提供することが求められる経営環境となり、新規事業開発への投資意欲が高まっているという。また、コロナ禍によるビジネス環境の大きな変化も、企業の新規事業開発への意欲を押し上げるきっかけの1つとなり、政府や自治体も補助金・助成金を通じて、企業の新規事業開発を支援している。
新規事業開発にはM&Aやジョイントベンチャーの設立など、様々な選択が取られているが、新規事業開発に特化した社内の人材育成や組織開発の観点から、コンサルティング企業などの第三者への依頼も増えているという。
これらの新規事業開発への投資は大企業を中心として推進されてきたが、近年は経営環境の変化や政府・自治体の支援により、中小企業においても新規事業開発への投資が推進されるようになってきたとしている。
その結果、サービス提供を行うコンサルティング企業においても、特定領域・専門領域に特化したさまざまなプレイヤー、「ブティックコンサルティング企業」が市場へ積極的に参入し、短期間・低単価によるサービス提供も増加。
一方で、社内で生まれた新規事業は実証実験などを通じて早期に事業化を進めていくことが求められるが、特に大企業においては、コーポレートガバナンス(企業統治)に基づいた厳格なプロセスを通すことが新規事業開発の壁となり、また事業化を進めることで、既存事業ではなかったレピュテーションリスクなど、新たな課題も生まれているとのことだ。
事業化を迅速に進める「共同開発モデル」の出現
それらの課題を解決するため、コンサルティング会社が顧客企業と協働し、新規事業開発およびサービスリリースの主体者となったうえで、ビジネスを拡大させていく「共同開発モデル」の需要が大企業を中心に高まっているという。
この共同開発モデルは、企業におけるカーブアウトや出向起業制度への理解が進んだことからも、選択肢の1つとして着目されるようになってきたとしている。共同開発モデルは、新規事業開発に壁がある大企業を中心に利用されているが、コンサルティング会社と1つの会社・チームとなった事業開発やその支援を受けることが可能となり、人材や組織の成長や育成にも大きく寄与しているという。
これらを背景に、2024年の新規事業開発におけるブティックコンサルティング市場規模は、前年比約1.2倍の149億円と推測されるとのことだ。そのうち、「共同開発モデル」の割合は約20%を占めている。
また、今後も新規事業開発への啓発やノウハウの普及が進むことで、長期的な視点での投資意欲が高まり、事業の収益化段階(アーリーステージ)でのさらなる投資も進むことで、市場が拡大していくことが期待されているという。共同開発モデルについてもカーブアウトと合わせ、既存の企業とは別の企業体やチームで新規事業開発を進めていく機運が高まっていくことにより、継続的な市場成長が見込まれるとのことだ。
2029年の新規事業開発におけるブティックコンサルティング市場は、2024年比約2.4倍の363億円に達するという。
調査詳細
- 調査主体:Relic
- 調査時期:2024年7~10月
- 調査方法:新規事業開発を支援する業界関係者へのヒアリング、調査主体および調査機関が保有するデータ、公開情報の収集
- ヒアリング調査数:新規事業開発を支援する業界関係者10社(件)
- 調査対象:新規事業開発におけるブティックコンサルティング市場
- 調査機関:デジタルインファクト
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