ボストンコンサルティンググループ（BCG）は、「The $32 Trillion Opportunity in Women-Focused Products and Services」の日本語版レポートを発表した。

　同レポートは12ヵ国、約1万5000人を対象として、BCGのデジタル専門組織BCG Xが実施したグローバル調査に基づいており、回答者の4分の3が女性である。

特に医療分野で女性のニーズを満たせていない

　調査会社ニールセンによると、女性は世界の消費支出の約32兆ドルを管理しており、今後5年以内に世界の裁量支出の75％を管理すると予測されているという。しかし、BCG Xの調査から、消費財、医療、金融などの主要分野において、女性は製品やサービスが自分たちのニーズを満たしていないと考えていることがわかった。

　特に女性のニーズを満たせていない事業領域は「医療」である。女性は家庭内のヘルスケアに関して意思決定の大半を担っているが（日本は75％）、同調査で女性特有の健康問題に十分対応したサービスがあると回答した女性は41％にとどまった。各領域の製品・サービスに対する満足度を示すデータにおいても医療機関や医療保険の数値は低く、それぞれ44％と37％となっている。

　こうした課題を改善するためには、女性が医療サービスにおいて何を重視しているのかを理解することが必要だという。同調査で女性が重視すると回答した要素は「質の高い医療」が87％で最も多く、次いで「予約対応の迅速さ」「手頃な価格」が同率で82％、「サービスを受けやすい便利な場所」「偏見のない公平で公正なケア」が同率で76％と続いた。

金融領域の課題はライフステージへの対応

　女性は年間5兆ドルもの資産を生み出している一方で、自身の不安を解消できる金融分野のサービスが少ないと感じている。特に日本では、退職後の備え（21％）、税務申告準備（22％）といったジャンルにおける女性の満足度は、医療分野と並んで非常に低くなっている。

　全体的に、女性は男性よりも主なライフイベントが財務に及ぼす影響への不安が大きいことが明らかになった（借金は9ポイント増、退職は8ポイント増）。また、懸念事項はライフステージによって異なることもわかった。Z世代（16～24歳）やミレニアル世代（25～40歳）の女性は失業への懸念が強い一方、X世代（41～56歳）の女性は退職後の計画を、ベビーブーマー世代（57～78歳）の女性は介護費用を最大の心配事としている。ほとんどのステージにおいて、女性は男性よりも財務的な問題に対する不安を強く感じている。

　さらに、調査によると、財務スキルに対する自信がない女性は男性より多い傾向があった。特にベビーブーマー世代では、効果的な財務管理のスキルや知識をもっていると答えた女性の割合は、男性より8ポイント低くなっている。X世代では5ポイント、ミレニアル世代とZ世代では4ポイントの差が見られた。

女性向け製品・サービスを成功させるには、女性の登用が不可欠

　同レポートでは、女性向け製品やサービスを成功に導くために重要な要素をいくつか挙げている。そのうちの1つが「製品・サービスの魅力」。企業は、今は満たされていない女性の機能的・感情的ニーズに応えているかどうかを、定性的・定量的なアプローチの両方で確認する必要があるという。

　また、女性の登用も重要な要素だと指摘。組織のあらゆるレベル、特にリーダー層に、各分野での女性の実体験を深く理解し、満たされていないニーズやその解決策を本質的に見抜ける人材が不可欠だと同社は述べている。

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