「オープンイノベーション」で危惧すること-知の「深化と探索」と「コアコンピタンス」
入山:
今回の本を読んで、例えば、実際のビジネスと照らし合わせて、具体的にどのあたりが「腹落ち」しましたか?
佐宗:
たとえば第5章の「コンピテンシー・トラップ」の話でしょうか。 先生の本を読んで思ったのは、今の日本企業は自社完結のR&Dプロセスがほとんどで、知の深化に傾斜し、知の探索をなおざりにするという、コンピテンシートラップにはまっている状態なのだと思いました。短期的には効率性を高めるが、結果として中長期的なイノベーションが枯渇してしまう。このトラップにはまっている企業が多いので、それを直すために一時的にオープンイノベーションという、「知の探索」が起こっている気がします。