オープンイノベーションにおける事業開発アプローチ
それでは、事業開発アプローチの分類に話題を戻しましょう。オープンイノベーションで「顕在化した市場/顧客の需要に対して短期的に対応する」場合には、「④M&A/マジョリティ投資など」のアプローチが有効です。
すでにある程度の事業的な成果やその兆しが見えている「隣接領域」や、比較的不確実性の低い「周辺領域」に該当する企業・事業をM&Aやマジョリティ投資によって自社内に事業成果を取り込むケースに加え、自社単独では進出が困難な「革新領域」への足がかりにしたり、競合や脅威を排除したりするために採択されることもあります。事業的な成果を得るための時間を大幅に短縮し、買収先の企業の経営資源を丸ごと自社に統合・結合できる可能性がある一方で、投資額が大きく、統合後のマネジメントが高難度になり、想定していた成果が出なかった場合には、減損処理が必要になるリスクなども存在します。そのため、実行にあたっては経営陣が自ら、もしくは投資や買収をミッションとする専門部署や経営企画、または対象企業と親和性やシナジーが見込める事業部のトップなどが主導する形になります。