知財ポートフォリオ構築の指針「フェライトツリー」とは

長い歴史を通じてグローバルな組織を築き、そのなかで緊密な知財ガバナンスの体制を確立したTDK。フェライト特許の取得が原点であることを踏まえても、同社の歴史は知的財産とともにあったと言える。それを象徴する事象として、小柴氏は時代ごとの知財ポートフォリオの変遷について説明した。

「これは年代ごとの特許出願の技術領域を示した年表です。時代を経るごとに技術領域が入れ替わっていっているのがわかると思います。先ほど、我々は時代とともに事業ポートフォリオを入れ替えてきたとお話しましたが、それはつまり、時代とともに知財ポートフォリオを入れ替えてきたということでもあるのです」
この知財ポートフォリオの入れ替えにおいて、重要な役割を果たしているのが「フェライトツリー」だ。フェライトツリーとは、これまでTDKが事業として手がけてきた製品を、フェライトから始まる技術的なイノベーションとひもづけて説明したもの。地上に見える木の幹や葉がこれまで手がけてきた製品であり、木を支える根が、これらの製品を生み出す原動力となる材料やプロセス技術、人的資本などを指す。