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【入山章栄×ログラス布川】AIエージェント元年の競争優位は企業独自の「文脈」と「暗黙知」の言語化

ゲスト:早稲田大学大学院 経営管理研究科 教授 入山章栄氏、株式会社ログラス 代表取締役 執行役員CEO 布川友也氏

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どうすればAIが「文脈」や「暗黙知」を言語化できるのか

入山:具体的に、どうすればコンテクストを言語化できるのでしょう。

布川:1つの方法としては「領域を絞る」というのがあると思っています。たとえば、IRであれば情報開示、資料作成、投資家対応など、業務の領域を細分化して、それぞれで行われる意思決定や行動の履歴を蓄積します。それを続けていくと、その企業の意思決定の傾向や考慮するポイントが次第に浮き彫りになるはずです。そうした企業の「クセ」のようなものをAIエージェントが学習して、人間の代わりに実行することは十分可能だと思います。

入山:となると、実行する機会の多い業務のほうが、コンテクストを言語化しやすいことになりますよね。予実管理のように毎月実施する業務はコンテクストが蓄積しやすく、言語化もしやすい。一方で、M&Aのように多くて年間数回、もしくは稀にあるかないかという実施業務はコンテクストを言語化しにくいと。

布川:そう思います。なので、そうした業務はさらに領域を絞り、タスクを細分化して履歴を蓄積していく必要があります。いずれにせよ、「どうすればコンテクストを収集できるのか」という視点は、AI時代のエンジニアには欠かせない視点だと思いますね。

入山章栄

経営者が本当に欲しい情報は議事録そのものではない

入山:先日、職人の知恵や技術をAIで再現する「技術伝承AI」を開発しているLIGHTz(ライツ)の乙部(信吾)さんとお話ししたのですが、彼はものづくりの職人などの暗黙知を言語化する際に、必ずインタビューを実施するとおっしゃっていました。

 私はてっきりAIの画像解析を使って、職人の動きをトレースしていると思っていたので、インタビューというアナログな方法には驚かされました。ただ一方で、インタビューだからこそ、すくい上げられるコンテクストもあるのではと感じたのも事実です。

布川:それはあると思います。コンテクストを言語化するうえで、AIが得意な業務もあれば、そうでない業務もあります。しかも、暗黙知を共有している者同士では、言語化のモチベーションはなかなか高まりません。第三者が介入して、顕在化していないコンテクストをインタビューで掘り起こしていくというのも、必要なアプローチの1つだと思います。

 とはいえ、部分的に人間がコンテクストを掘り起こすにしても、それらを収集して統合するデジタルの仕組みは必要だと思うんです。

入山:先日、とある大手企業の経営者の方とAIについて対談したときに、その方が「私が、今、最も収集したいデータは会議の前後の雑談です」とおっしゃっていたんです。つまり、会議の前後の雑談に、その会社のコンテクストが詰まっていると。従業員の会話の収集が現実的に可能かは別にして、AI時代の経営においてコンテクストの収集がいかに重要か示唆していると思いました。

布川:キーエンスは営業担当者が極めて仔細に商談の内容を報告することで知られていますよね。これもコンテクストの収集の一つ形だと言えます。おそらく、AI時代には「コンテクストの収集は従業員の義務」というふうに企業文化も変わっていくのではないでしょうか。

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注意が必要な「バイアスの存在」、人間がすべき「価値判断」

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この記事の著者

島袋 龍太(シマブクロ リュウタ)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:株式会社ログラス

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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