インディードリクルートパートナーズは、AIに関わる求人動向について、転職支援サービス「リクルートエージェント」のデータをまとめて発表した。
1.AI関連求人が増加する背景とデータ
リクルートエージェントにおけるAIに関わる求人は、2017年度比でエンジニア系職種が約6.6倍、営業・企画・管理部門など非エンジニア系職種でも約2.5倍に増加。転職者もそれぞれ約4.2倍、約2.2倍と大きく伸びており、AI活用のニーズがより広い職種に広がっていることがわかる。

AI関連求人の業界別構成(2024年度)
業界別の傾向を見ると、エンジニア系職種ではIT通信業界に加え、電気・電子・機械業界、メーカー、インターネット、コンサルティングといった産業でのニーズが強く、モデル開発やPoC(概念実証)推進を担うポジションが中心。一方で、営業・企画・管理部門職種では、IT通信・インターネット業界を中心にしつつも電気・電子・機械業界、メーカー、コンサルティング、人材・教育など幅広い業界で登場している。

2.「AI×現在の担当領域の経験」で生まれる転職
AI関連の求人は、「高度な技術者しか応募できない」と思われがちだが、企業が求めているのは開発そのものだけでなく“AIを業務にどう生かせるか”を一緒に考えられる人材であるケースも見受けられる。実際の転職市場では、自らの経験や専門性をもとに、AIと関わる領域へ挑戦する動きが広がっている。
AI人材の役割の違い
これまで「AI人材」といえば、モデルの開発や実装を担うエンジニア職が中心に語られてきたが、現在では既存業務にAIをどう適用するかを考え、推進する“ビジネス側”の役割も増えている。

AI関連求人のカテゴリー
AI関連求人は、仕事内容や求められるスキル、経験に応じて「関心」から「実装」までの4段階に分類できる。
- 関心フェーズ(AIを利用したことがある・AIに関心がある)
- 知識フェーズ(AIに関して基礎的な知識があり業務での見通しを持てる)
- 活用フェーズ(AIを活用して業務の運用・改善ができる)
- 展開・実装フェーズ(AIを実装して成果を出し仕組みにできる)
エンジニア職では、これまでの業務で培ってきた技術スキルや開発経験が、業界を越えて新たな役割に展開されるケースが増加。「AIの実務経験」がなくても、構造理解・モデル構築・制御設計といった力が評価されるポイントになっている。
ビジネス職にでは、現場で培った経験や業務構造の理解が、プロダクトマネジメントやPoC支援などの役割に接続される事例が増加。特に、生成AIの活用が急速に進む中で“AIを使ってみた”“生かせると考えた”という姿勢自体が評価対象になるケースも多く見られる。
3.自分の経験や自社の求める人物像のわかりにくさを補うための言語化
AIに関わるキャリアは、「AIに精通しているかどうか」だけでなく、「自分のこれまでの経験や業務視点をどう生かすか」が評価されるケースもある。一方で「どこまでのスキルが求められるのか見極めづらい」といった声は求職者から多く聞かれるという。そうしたわかりにくさを補うために、まずは自身の経験を棚卸ししてみることも重要だとしている。

また企業側でも、AIの専門開発スキルではなく、業務設計、社内外とのやりとりなど、ビジネス職としてのスキルが生かせる仕事もある。そうした実態に合わせ、求人票や職務定義を「AIで何を解決したいのか」「どの業務を担ってもらいたいのか」といった観点で分解していくことは、必要な人材がより自然に応募できる構造をつくる上で有効だという。
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