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経営企画サバイバルガイド

予実管理は単なる比較・分析にあらず ワンランク上を目指す経営企画担当者のための実務入門

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行き詰まったら前提を疑え

 正しい視点とプロセスで予実管理をしているはずなのに、差異分析から有効な改善策が導き出せない。その場合は、予算の前提がそもそも正確ではない可能性があります。

 「予算は事業の意思を数値化したもの」と述べましたが、これは性善説に基づいた理想論です。実際には、前年の目標を踏襲しただけで意思が込められていない予算も少なくありません。

 さらに厄介なことに、意思は込められているが不適切な予算もあります。たとえば、あえて甘い目標を設定して大幅に上振れたように見せかけ、現場自体の評価を上げようとするケースです。「ギリギリ達成できる目標ではなく、余裕を持って達成できる目標のほうが良い」という心理が実際の現場で働くことは、想像に難くないでしょう。

 だからこそ経営企画部門は、予算の正しさを見極め、予算に適切な意思を込めさせる──つまり、予算自体を改善する役割も担います。現実的に見込まれるコストダウンや売上アップは盛り込むように交渉し「全力を尽くしてようやく100%達成できる目標」に調整していくのです。

 目標をストレッチさせたくない現場とは利害が一致せず、反発を受ける場面もあります。現場が動かない場合は、経営陣と連携してでも意思のある予算づくりに介入しなければなりません。その際、経営企画部門の担当者には相当な交渉力が求められます。

経営企画部門が参謀になるための条件

 本記事を読んで「経営企画部門の仕事は大変だな」と感じるかもしれません。予算を理解するためには事業理解が必要で、実績を読み解くためには財務会計・管理会計の知識が欠かせません。さらに、予算を改善するために現場との交渉まで求められる。確かにハードな仕事です。

 しかし、事業と会計の両方を扱えるからこそ、経営企画部門は企業の参謀になれる仕事でもあります。たとえ優れた戦略を描ける責任者も、数字に明るいとは限りません。そのため、戦略を数字に落とし込んで進捗や達成度を可視化し、事業を前に進められる経営企画部門の担当者は、各責任者の右腕として重宝されることになります。対峙する責任者の役職が上がるにつれ、経営企画部門の担当者にはより高度な参謀機能が求められるでしょう。

 そこで次回のテーマは、戦略を数字に落とし込む「計画策定」です。戦略を数字に翻訳できて初めて、経営企画部門は戦略を動かす力になります。現場の思惑を受けて妥協することなく、会社を成長に導く予算計画をどう作るのか。具体例を用いながら解説します。

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この記事の著者

冨田 貴大(トミダ タカヒロ)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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