「行為のデザイン」は観察だけに頼らない
昨今では、消費者行動に注目しているメーカーの多くが、オブザベーション、つまり「行動観察」を取り入れるようになってきた。行動観察には、実店舗での商品購入の様子を観察するもの、被験者の商品購入の様子を担当者が別室で観察するものから、実際に購入したユーザーの家で利用シーンや方法を観察させてもらうものまで、様々な方法がある。行動観察の意義や効果を否定するわけではないが、こうした調査では、「○○さんがこういう行動をとりました」という結果しか出てこない。「きっと○○さんはこういう行動をとるだろう」「それはこんな理由からだろう」という想像はしないので、画期的な商品が生まれにくい。
「行為のデザイン」は、行為に着目していることから誤解されやすいのだが、行動観察とは別の手法である。観察法ではなく発想法で、極端に言えば行動観察をしなくてもいいのだ。体験と豊かな想像力を駆使することで、行動観察に時間をかけずに、「起こり得る状況」を考えていく。