YKK APは、2025年10月30日、新人事戦略「Architect HR」の策定を発表した。本戦略は「Evolution 2030」ビジョンの一環として、「社員幸福経営」の実現に向けた取り組みであり、社員一人ひとりのキャリア自律と組織の持続的成長を同時に図ることを目指している。
YKK APは、YKKグループが受け継ぐ「善の巡環(他人の利益を図らずして自らの繁栄はない)」を企業精神とし、建築用工業製品を通じて社会価値を提供してきた。今回策定された「Architect HR」は、同社のモノづくりの精神と建築分野での設計思想を組織づくりに応用し、社員が自らのキャリアを主体的かつ自律的に設計し、成長できる環境の構築を目指している。
「Architect HR」は人事制度の枠にとどまらず、組織全体の“設計図”として機能することを念頭に、次世代へのYKK精神の継承と、社員の自己成長および社会貢献を結び付けながら、変化に柔軟に対応し、創造的な進化を実現する組織運営を推進する。
新人事戦略「Architect HR」は、以下の5つの柱で取り組みを進める。
1つ目は「Foundation(基盤)」で、強固な土台の構築を目的としている。「善の巡環」の浸透や、スキル標準・キャリアパスの明確化、グローバルHR基盤の整備などを推進する。
2つ目の「Framework(構造)」は、柔軟で適応可能な組織設計を目指し、職能型組織からジョブ&スキル型組織への移行を加速させ、事業部や職種の枠を超えた柔軟な組織編成を強化する。
3つ目の「Materials(素材)」では、人材育成とスキル強化に注力する。「APアカデメイア」を設立し、データ駆動のタレントマネジメントや新たな次世代リーダー育成プログラムの導入・展開を行う。
4つ目の「Connections(接続)」は、社内外のエコシステム構築に力を入れる。他社との共同プロジェクトや産学連携の強化、リファラル採用やアルムナイネットワーク、地域社会との連携などを展開する。
5つ目の「Transparency(透明性)」では、公正・公平な組織文化の実現を重視し、評価の透明性向上、情報のオープン化、意思決定プロセスの可視化を図る。
これらの取り組みによりYKK APは、全社員が自らのキャリアを積極的に設計し、変化を受容しながら成長できる組織環境を構築し、持続的な企業発展を目指す方針だ。経営企画や新規事業推進部門にとっても、組織変革の参考となる事例である。
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