ファイナンス理論が機能する「合理性の前提」を疑う
ここで考えないといけないのは、ファイナンス理論の合理性の前提となっている「将来予測の確実性」と「投資対象の有限性」である。
1:将来予測の確実性
NPVが計算できるのは、将来の売上が予測できる場合であり、その収入が得られる期間も予測できるときである。多くの新規事業は予測ができても不確実性が高い。下ブレもあるが、上ブレの可能性もある。同様に、収入が得られる期間は長いが不確実な新規事業と、短いかもしれないが確実な既存事業という関係がある。いずれにしても、精度の高いNPVと精度の低いNPVを同じ指標だからといって比較していることになる。事業の「種」と「果実」を同じ価値観で比べることはできない。