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「新規事業提案制度」事務局運営のリアル

大東建託の「HIRAKU」が実践した人事連携の進め方。会社を救う“気概ある人材”を新規事業で育てる

ゲスト:大東建託 遠藤勇紀氏(後編)

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 前編では、大東建託が制度運営に「THE MODEL」を導入し、応募数を3倍に急増させた“入り口”の改革について伺った。続く後編では、通過後のプロセスと事業化の“出口”戦略を深掘り。「一寸先は崖」と定める厳格な撤退基準や、既存事業部を説得するロジック、人事部との連携の工夫などを、同社イノベーションリーダーの遠藤勇紀氏に、イノベーション鈴木氏が聞いた。

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基本思想は「一寸先は崖」。リビングデッド化を防ぐ撤退のルール

イノベーション鈴木氏(以下、イノベーション):前編では応募者増に向けた施策など“入り口”の話を中心に伺いましたが、通過した後のプロセスについてもお聞かせください。特に大企業では、一度始めたプロジェクトを止めるのが難しい「撤退」の問題がつきまといます。大東建託さんではどのような基準を設けているのでしょうか。

遠藤勇紀氏(以下、遠藤):私たちの基本思想は「一寸先は崖」です。「レールはここまでしか敷かれておらず、次に進むためのレールを自分で作り継ぎ足す必要があり、自動的に撤退となります」という制度にしています。これはVCの考え方に近いものです。運営や会社が「君たちの事業はダメだ」と判断して潰すのではなく、自ら道を決め切り拓き「自ら掲げた高い目標を達成できないのであればオートマチックに終了となる」という形です。

イノベーション:なるほど。「事務局の判断」ではなく「ルールの厳格な適用」にするわけですね。

遠藤:はい。あえて厳しくするのは、ズルズルと延命させる「リビングデッド」状態が、その人のキャリアにとってのリスクにもなり得ると考えるからです。大企業新規事業においてよく聞く2年、3年と成果が出ないまま過ごし、気づいたら元の部署にも戻る席がない……という事態は避けなければなりません。早期に撤退させることは、その人が次のキャリアや本業に戻って活躍するためにも必要な、“会社としての優しさ”だと考えています。

イノベーション:VCが「投資適格でなければ見送る」のと同じで、大企業におけるキャリアを守るためにも、ダメなら早めに引導を渡してあげる必要があるということですね。

遠藤:そうです。キャリアに空白を作らせないためにも、見込みがないなら早くフィードバックして、早く撤退させる。それが制度を長く続けていくために必要なプロセスだと思っています。

大東建託株式会社 事業戦略部 イノベーションリーダー 遠藤勇紀(てでぃ)氏
大東建託株式会社 事業戦略部 イノベーションリーダー 遠藤勇紀(てでぃ)氏

「人事発信」で社内の反応を上げる。人事連携実現の工夫

イノベーション:今回から人事との連携を強化し、制度を「人材育成」の文脈に位置づけたと伺いました。ただ、大企業の人事部門はどこも手一杯で、新しい取り組みには慎重なイメージがあります。どうやって巻き込んだのでしょうか。

遠藤:今回非常に運が良かったのは、人事側のカウンターパートになってくれた方が、かつて私がメンターをした「制度の元応募者」だったことです。応募する側の苦労や、この制度の意義を肌感覚で理解してくださっていますし、キャリア教育について強い熱意を持っている方だったので、前提の共有がスムーズでした。

イノベーション:それは大きいですね! 共通言語があるだけで話の進み方が違います。とはいえ、工数の問題はどうクリアしたのですか?

遠藤:「少なくとも最初の1〜2年は、実務は運営チームが対応します」と。人事としては「人的資本経営」の文脈で新しい施策は打ちたいけれど、手は動かせない。だから、我々が手となり足となり動くので、人事という“冠”で一緒に運営してほしいと提案しました。

イノベーション:なるほど。実務は請け負うから、一緒に運営してくれと。そこまでするメリットは何でしょうか?

遠藤:たとえば「通達の開封率」の違いがあります。「見慣れない新規事業部門からの新規事業募集」という通達と、「人事部からのキャリア開発研修」という通達では、社員の反応が桁違いです。人事発信にすることで、これまでリーチできなかった層に届くようになります。人事との連携には、制度を大きく飛躍させる意味で大きなメリットがあると考えています。

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新規事業とCVCを両軸で。事務局をハブとしたリソース配分

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この記事の著者

梶川 元貴(Biz/Zine編集部)(カジカワ ゲンキ)

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