2025年12月9日、ログラスは東証改革に対応したIR専門AIソリューション「Loglass AI IR」の正式提供開始を発表した。本サービスは、従来煩雑であったIR業務を効率化し、企業価値向上のための戦略的活動への集中を可能とすることを目的としている。東証改革とは、2022年4月の市場再編をきっかけとした東京証券取引所による一連の上場制度改革のこと。

日本企業のIR部門は現在、東京証券取引所からの「資本コストや株価を意識した経営」要請に対応し、情報開示から投資家との対話の質の向上へと役割が転換している。2025年に日本IR協議会が実施した調査では、IRに対する意識がIR担当部門で82.5%、社長/CEOで77.0%、取締役会で72.4%、CFOで70.9%に達するなど、IRの重要性が企業内で高まっている。しかし、ESG対応や非財務情報開示などによりIR業務が複雑化し、効率化と質の両立が課題となっている。
「Loglass AI IR」は、こうした状況に対し、AIによる議事録の自動作成だけでなく、面談準備、振り返り、社内レポートなどIR業務全体の生産性向上を支援する。主な機能は以下の通りである。
1. 投資家データベース機能
運用資産額や投資スタイル、過去の対話ログなど、投資家情報を一元管理し、誰がどのような内容で対応したかを即座に確認できる。これにより担当者の交代時にも一貫性のある対話を実現し、属人化を解消する。
2. Q&A議事録機能
IR特化型の生成AIが日本語・英語双方に対応した高精度な議事録作成を実現し、重要なQ&Aの抽出・要約を自動化。これまで手作業や聞き直しに割いていた工数を90%以上削減し、戦略業務への集中を促す。
3. 分析・レポート機能
投資家の関心や懸念の傾向を可視化し、客観的なデータとして経営層にフィードバック。迅速な経営判断と企業価値の向上を支援する。
本サービスは、2025年9月発表の「Loglass AI Agents」構想の第一弾として位置付けられる。担当者コメントとして、「AIが全対話を自動で書き起こし、データベース化することで、IR担当者が本来注力すべき戦略立案に集中できる環境を目指す」としている。
リリース記念として、決算説明会の書き起こし機能を1年間無料で提供するキャンペーンを実施する。また、12月18日には東証改革下でのIR業務変革セミナーも開催予定である。
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