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「顧客を育てる」は価値提案へと進化する

第9回

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「顧客とのつながり方」自体が価値提案の一部

 さて、顧客インターフェースの3つのビジネス要素(ターゲット顧客、チャネル、顧客リレーションシップ)と価値提案の関係を、「概念モデル」によって表現してみましょう(図8)。少し複雑になってきましたが、「顧客リレーションシップは、チャネル(の上)に構築される」、「顧客リレーションシップのメカニズムは、チャネルのリンクの一部となることがある」というように解釈することができます。

 たとえば、Amazon.comを考えてみましょう。Amazon.comのパーソナライゼーションは、購買前というチャネルリンクの一部であり、それは利便価値を中心とした価値論拠をもつオファーの一部を形成しています。また、Amazon.comの顧客リレーションシップのほとんどはWebプラットフォームというチャネルの上に構築されていることは誰もが知るところです。

概念モデルによる表現図表8.概念モデルによる表現

 ところで、オファーの属性の1つである価値論拠には、信頼価値、経験価値、利便価値、リスク価値という4つの主観的価値があることを覚えていらっしゃいますでしょうか?つまり、ブランド、評判、信用は「信頼価値やリスク価値」、パーソナライゼーション、コ・クリエーションは「利便価値や経験価値」に大きく影響を与える“顧客リレーションシップのメカニズム”であると言えます(図9)。

オファー、リンク、メカニズムの関係図表9.オファー、リンク、メカニズムの関係

マーケティングは4Pから4C、そして4Eへ

 皆さんのなかには、伝統的なマーケティングの4Pについてはご存知の方も多いかと思います。1990年代にはプロダクト中心から顧客中心のマーケティングが提唱され、4Cという概念が生まれました(マーケティング1.0から2.0へ)。近年のソーシャル中心の時代においては、さらに4E(マーケティング3.0)という概念が登場してきました(図10)。

マーケティングの4P、4C、4E図表10.マーケティングの4P、4C、4E

 4Eの概念をビジネスモデルの要素に置き換えれば、「顧客経験という提案価値を、あらゆるチャネルにおいて、顧客との絆を通じて伝播させる」ことが、現代における新しいマーケティングのキーメッセージと言えるのではないでしょうか?

次のページ
顧客リレーションシップの定義手順

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この記事の著者

白井 和康(シライ カズヤス)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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