エクスペリエンスマネジメント(XM)のリーダーであるクアルトリクスは2026年4月14日、国内事業戦略に関する記者会見を開催した。同社は、AI時代の到来で顕在化した「新たなエクスペリエンスギャップ」の解消を掲げ、顧客体験(CX)および従業員体験(EX)をビジネス成果に直結させるプラットフォームの進化を提示。あわせて、NTTドコモビジネスソリューションズ(以下、NTTドコモビジネス)やマーサージャパンとの協業深化を発表した。
「理解と行動」のギャップをAIで埋める
クアルトリクス・アジアパシフィック・ジャパン(APJ)を統括するライン・リブ氏は、新CEOジェイソン・メイナード氏のもと、AI・医療分野の専門知識を拡充している現状を強調。AIの国際規格「ISO 42001」や米国政府のセキュリティ基準「FedRAMP」の認証取得を通じ、「責任あるAI」の活用を推進していると述べた。
リブ氏は、かつては「何が起きているか(運用データ)」と「なぜ起きているか(インサイト)」のギャップを埋めることが主眼だったと振り返る。しかし現在は、「得られたインサイトを、いかに大規模かつ自動化されたインテリジェントな行動へ転換するか」という、「理解と行動」の間のギャップ解消こそが重要であると指摘した。
日本市場では「マーケットリサーチ(MR)」領域へ本格参入
日本国内の活動については、カントリーマネージャーの熊城悟氏が詳述した。2025年度は人的資本経営への関心の高まりを受け、EX(従業員体験)に特化した施策やパートナー支援体制を強化。新規採用した約100社の多くが、既にAI機能を活用し始めているという。
2026年度は、従来のCX・EXに加え、マーケットリサーチ(MR)領域へ本格注力する。具体的には、AIを用いた仮想パネル「シンセティックパネル」による調査の高速化・低コスト化を日本市場向けに最適化して提案する方針だ。また、国内ユーザーコミュニティも活性化しており、昨年度は延べ350社・約700名が参加。顧客同士の知見共有がプラットフォームの価値をさらに高めている。
現場の意思決定を支援する「日本語対応AI」の新機能
注目すべきは、AIを活用した新機能の日本語対応だ。
- オムニチャネルエクスペリエンス管理:Googleの口コミ、SNS、コールセンターのログ等を集約し、感情データを分析。
- 生成AIによるテキスト分析の自動化:膨大な自由回答から即座に課題を抽出。
- 離職リスク検知:従業員の離職予兆を統計的に検知。
- フォローアップ設問(β版):フリーテキスト回答に対し、AIが自動で深掘り質問を実施。
これらは専門知識のない現場マネージャーでも、AIの推奨に基づき適切なアクションを起こせるよう設計されている。分析で終わらせない「行動するプラットフォーム」としての側面を強化した形だ。
強力なパートナーシップによる「日本型課題」の解決
会見にはパートナー企業も登壇した。NTTドコモビジネスの稲葉修二代表取締役社長は、日本企業が直面する「現場の巻き込み」という課題に対し、伴走型支援「パートナーサクセスパッケージ」を紹介。また、SMS送信サービスとの連携により、高い回答率とコスト削減を両立する仕組みを解説した。
マーサージャパンの金井京太郎氏は、現場マネージャーの自律的な組織改善の重要性を説き、クアルトリクスの拡張性が人事部主導から「現場主導」への変革を支えると評価した。
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