仮説が組織の力を集約する
新規事業やサービスの成功は数多くの失敗の上に成り立つ。だが、成功の見込みがなく、立ち直れないほどに打ちのめされてしまうような失敗は、ただ企業が壊滅的なダメージを受けるだけだ。だから、新しい未来を作るためのトライ&エラーにも作法が必要だ。本会を主催するインテグラート株式会社の代表取締役社長小川康氏が、以下のように語った。
新規事業における様々な方法論がありますが、難解すぎるものはダメですね。イノベーションや新しい事業を創造するとうことは、曖昧な先が見えない状態で、多くの人が長い時間関わる業務です。組織的に何をやればよいか、はっきりしない状況で、実行のための方法論が難解過ぎてはうまくいきません。私が「仮説指向計画法」をお勧めしたいのはシンプルだからです。たくさんの人が理解して、使いこなせる方法論だと思っています。
失敗は経験として蓄えられなければいけないと小川康氏は続けた。そのためには、仮説を立て、失敗を最小限にしつつ、糧にできる状態を作ることが重要だ。
仮説指向計画法には4つのポイントがあります。まず「事業が成功している状態」を定義する。次に「成功に必要な条件」を明確にする。その必要な条件を仮説と言っています。ステップ3は、「仮説が正しいか」を確認していく。「Fail fast, fail cheap(早く、安く失敗せよ)」です。これは、次の一手が打てなくなる前に、いつも次の一手分の余裕を持っておくことです。そして最後に「仮説が外れていたら修正する」。修正は何も止めるということではありません。学んだことを使って、より大きな成功を達成しようすることです。仮説は外れてもいい、でも仮説だったものを学んで知識になったら、その知識を使って次の一手を打っていく、そういう学習ベースの計画が「仮説指向計画法」です。
ただし、仮説を立てることは、数字や論理で机上の空論を練り上げるためではない。むしろ目指す方向を打ち出すことで組織全体の力を結集することにある。作り上げたい未来を見据えた時、散発的ではなく集約的に組織をエンパワーメントする。その精度を高めていく。これが仮説指向計画法の真髄だ。