非中核事業の売却とスピンオフによる事業ポートフォリオの大変革
池側:レゾナックの経営変革で特筆すべきは、ポートフォリオ変革のスピード感です。どのような判断基準で事業の選択と集中を進めてこられたのでしょうか。
染宮:評価の軸は「戦略適合性」「採算性と資本効率(ROIC)」「ベストオーナーか否か」の3点です。自社で持ち続けるよりも他社の傘下に入った方がその事業や従業員にとってハッピーであるならば、売却を躊躇しません。この原則に基づき、2021年以降、アルミ缶事業、プリント配線板事業、蓄電デバイス事業など17件以上の非中核事業・資産(売却・資産価値総額約3,000億円)の譲渡を断行しました。
5年間で5,066億円の負債削減とキャピタル・ストラクチャーの正常化
池側:買収に伴う高金利負債の圧縮と、バランスシートの正常化はどこまで進んだのでしょうか。
染宮:2020年末時点で1.1兆円以上存在したネット有利子負債+優先株は、事業売却による収入や本業でのキャッシュ創出により、5年間で5,066億円削減しました。買収時に設定した高金利のLBOローンを返済し、優先株を買い戻すとともに、公募社債や転換社債(CB)、劣後ローンといった低コスト・長期固定金利の安定資本へ置き換えを進めました。
さらに、伝統的な石油化学事業については、2025年1月に「クラサスケミカル」へ移管し、同社は2026年9月29日に東京証券取引所へ上場しました。続く10月1日には、同社株式の80%超を当社株主に現物配当するパーシャル・スピンオフを実施し、当社の持株比率は20%未満となりました。これにより、半導体・電子材料を中心とする成長分野への経営資源の集中を一段と進めていきます。
この結果、買収直後の2020年末に14.7倍という非常に危険な水準にあったNet Debt/EBITDA倍率は、2026年通期予想ベースで1.9倍まで低下する見通しです。化学メーカーとして目指すべき財務健全性(3.0倍以下)を大幅にクリアし、次の成長投資(フェーズ2)へと打って出る盤石なキャピタル・ストラクチャー(資本構成)が整いました。



