防衛省からクマ対策まで──社会課題を解決するAI実装
チェンジHDのAI実装は、いち企業の業務効率化にとどまらず、社会課題の解決にも直結している。その代表的な事例が、「危機管理領域」でのAI活用だ。
現在、秋田県をはじめとする地方部では、熊による人的被害が深刻な社会問題となっている。同社はエアロネクスト等と連携し、「AIドローンを活用したクマ対策実証事業」を受託した。これは、平時には物流として稼働しているドローンをクマの早期発見・捕獲支援・侵入抑止といった対策に転用するというものだ。平時のインフラを有事の危機管理に活用することで、コストを抑えながら地域住民の安全と猟友会の負担軽減を両立する画期的な仕組みである。
また、公共DXにおける国家レベルの取り組みとして、防衛省・陸上自衛隊へのDX支援も挙げられる。グループ会社のジーグラビティは、高度なセキュリティが要求される防衛省において、陸上幕僚監部約1,000名、陸上自衛隊員約14万人を対象としたAIを活用できる基盤の整備を支援している。
さらに、民間領域では医療現場へのアプローチも進む。ビーキャップの技術を活用し、病院内における看護師の位置情報をAIで分析。1日の業務の約3割を占める「移動(検体や書類の運搬)」を可視化し、それをDFA Roboticsが取り扱うロボットに代替させることで、看護師が本来の患者ケアに集中できる環境構築を支援している。
ネット上の脅威からIPを守る「AI×人」の分業モデル
AI技術の急速な普及は、ビジネスに恩恵をもたらす一方で、新たなリスクや脅威も生み出している。この課題に対し、イー・ガーディアンは「AI×人」の高度な分業モデルで対抗している。
福留氏は、現代特有のリスクとして「IP(知的財産)の侵害」を挙げる。生成AIの登場により、アニメやゲームのキャラクターといったIPを無断で学習させ、悪用するケースが爆発的に増加している。日本が世界に誇るIP産業の侵害被害は、世界で10.4兆円規模に上るとも言われている。
「IP大国として外貨を稼ぎ、豊かな社会を維持するためには、このIPをいかに守り抜くかが極めて重要だ」(福留氏)
これに対しイー・ガーディアンは、AIによる24時間365日の自動監視でネット上の膨大なデータを検知し、文脈や微妙なニュアンスの判断が必要な部分は人間が目視で確認するという最適な分業体制を構築している。この仕組みを活かし、IPの悪用監視にとどまらず、芸能人への誹謗中傷監視や、メーカーのECサイトにおける広告表現の監視など、新たな需要に応えるAIソリューションを次々と投入している。
「BPOのような外注企業は、AIによって真っ先にコスト削減の対象になりやすい。しかし我々は、人とAIがコラボレーションすることで最適な解決ができることを証明したい」(福留氏)
企業におけるAI活用は、「とりあえず導入する」フェーズから、「いかに現場の業務と融合させ、持続可能な変革をもたらすか」という実装のフェーズへと移行している。
経営層は、リスクに対する現場の不安を仕組みで解消し、AIと人が共存できる土壌を築く必要がある。本記者発表会で示されたチェンジHDの実践知は、DX推進に悩むすべてのリーダーにとって、自社の変革に向けた強力な羅針盤となるはずだ。
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