数字は「客観的な共通言語」
ビジネスは、多くの場合「主観」に基づいて運営されます。現場力という言葉もありますが、日々の業務活動の中で、実際に経験したことや感じたことをもとにして自らの中につくりあげた経験則を用いて、様々なできごとや問題に対して適切な判断を下し、対処法・対応方針を決めるわけです。こういう経験則に基づく判断は、「勘・経験・嗅覚」などと呼ばれて、欧米的なビジネス理論の信奉者からは敬遠されがちなのですが、ビジネスを円滑に回していく上で、非常に重要な要素だと私は考えています。
一方、数字は、この主観的な感覚とは対極に位置する概念です。つまり、極めて「客観」的なものです。数字によって表現されたものは、誰が見ても同じ情報です。とても単純な例では「今日はいつもよりお客さんが多い」という主観的で定性的な表現よりも「今日は、先週の平均来客数よりも、30%来店客が多い」という表現の方が、客観的で定量的です。こういう数字を用いた表現には、個々人が解釈する余地がありませんので、情報を受け取った人が、全員、同じように状況を理解することができるわけです。