「価値構成の3つのタイプ」でモデルを分類する
ここでは、価値構成の属性として、「バリューチェーン」、「バリューショップ」、「バリューネットワーク」という3つの異なるタイプを採用することにしましょう。これは、ノルウェーのビジネススクールの教授によって提唱された価値構成モデルです。
バリューチェーン
バリューチェーンは、原材料や中間プロダクトを最終プロダクトに変換することによって価値が生成される価値構成タイプです(図表3)。バリューチェーンは、製造業に最も適したモデルですが、プロセスグループを少し変更することによって小売業にも転用できます。
バリューショップ
バリューショップは、ターゲット顧客が抱える固有の問題を解決するために人的もしくは知的リソースなどを結集させる価値構成タイプです(図4)。多くのバリューショップのプロセスは、顧客の問題が解決されるまで1セットのプロセスグループが繰り返し履行されることが特徴です。このタイプは、病院や会計事務所、コンサルティングやシステムインテグレーターなどのビジネスに適しています。
バリューネットワーク
バリューネットワークは、自社の幅広い顧客ネットワーク間の取引や交流を仲介するための事業基盤をもつ価値構成タイプです(図表5)。通信、銀行、保険などの主要ビジネスだけでなく、eBayやGoogleといったインターネットを駆使した新しいビジネスモデルをもつ企業にも適しています。
バリューネットワークの特徴の1つに、ネットワークに参加する顧客が増えれば増えるほど、顧客はより多くの価値を受け取ることができる点にあります。これは、一般的に「ネットワーク外部性」と呼ばれるものです。また、競合他社と価値を共同で生成するケースもあります。たとえば、ATMの銀行間ネットワークや航空会社のチケット予約システムを考えてみれば分かりやすいかもしれませんね。
皆さんのビジネスは、どのタイプに属していますでしょうか?企業によっては、これらの価値構成タイプが複数存在していることもあります。たとえば、銀行の預金・貸出業務はバリューネットワーク型ですし、顧客に対する資産運用アドバイザリー業務はバリューショップ型でしょう。また、メーカー系のシステムインテグレーターにおいて、プロダクトの製造はバリューチェーン型ですし、顧客企業のシステム開発はバリューショップ型です。価値構成の3つのタイプは価値生成の本質的な特徴が異なるため、その構造を分解して考えることも必要でしょう(図表6)。