創造的取り組みとリスクテイクを賞賛しよう
インセンティブを創造的な取り組みに結び付けよう
インセンティブを創造的な取り組みに結び付けよう。そして、リスクテイクを賞賛しよう。失敗するな、と締めつけるのではなく、何を学ぶかを重視するのである。パフォーマンスを、何で測定するかは、大変重要な問題である。かつて、IBMはメインフレームのシェアで圧倒的に勝っていた。これは、1960年代のことである。しかし、1990年代に、PCのシェアで測るように尺度を変えると、シェアが急減していたことが明らかになった。測る尺度を間違うと、大変なことになる。
職場ではみんな忙しいので、なかなか新たな取り組みができないものだ。少しずつ改善しても、そして、改善をやめたとしても、いずれにしても創造的な組織はできないだろう。しかし、ここで、ある指標を3年で2倍にする、という目標を立ててみよう。そうすると、誰も今までと同じことは続けられなくなる。今までと違う組織が出来上がってくるだろう。創造的組織を創造するためには、現状の維持・継続ではダメだと覚悟しよう。
何よりも、実験が重要である
実験は重要である。来年の利益を増やしたい、とする。売上を増やすためには、販売部隊を増強するのか?コストを削減するのか?どうしたらよいかわからない?答えを知るために、実験を設計するとよい。実験によって、原因と結果を結びつけていくのだ。原因と結果の関係を確認する唯一の方法が実験である。
実験のメリットは、測り知れない。学習、より良い意思決定、確信、スピード、効果測定。さらに、何を得るかに集中し、失敗を許容するイノベーティブな文化をもたらす。競合を混乱させる、という効果もある。実験の意図は、なかなか競合にはわからないものだ。
今日はたくさんの具体的手法を紹介しているが、どれか一つが重要とすれば、実験が大事である。消費者の行動が劇的に変化し、テクノロジーが進化し、競争が激化する今、戦略の最適化など、できはしない。戦略意思決定を改善していく唯一の方法が実験である。
バーチャルな、開かれた、ネットワーク型組織を活用する
オープンイノベーションの代表例が、InnoCentive(イノセンティブ)である。およそ200カ国から約30万人の問題解決者が登録しており、5,000ドルから、100万ドルまでの懸賞金が提示された膨大な数の問題の解決に取り組んでいる。P&Gや、イーライ・リリーといった、巨大なR&D部門を持つ企業でさえ自社では解決できない問題を、実際に解決している。
そして、さらに興味深いことには、問題に取り組む解決者の分野の幅が広ければ広いほど、問題は解決されやすいようだ。たとえば、化学者、数学者、マーケティング専門家など、一企業では到底集めることができない分野のメンバーが問題解決に取り組むのだ。提示される問題の範囲は、R&Dにとどまらず、多岐にわたっている。これは、今までのやり方を根底から変えていく、ゲームチェンジャーだ。
オープンイノベーションの副作用として、重要なアイデアが知られてしまい、競争上不利になることは懸念されないだろうか、という質問があった。その可能性はある。機密情報については、機密保持契約を締結し、更に、開示対象者を限定するなどの配慮が必要だ。
創造性が割に合うか、測定する
創造性は、価値を生み出し、利益をもたらすように発揮されなければならない。従って、効果を測定しなければならない。たとえば、スタートしたばかりのベンチャー企業では、幅広く可能性を探索することになるだろう。そして、効果が高いところを見出し、チャンスのあるところに集中していく。
このように、だんだんとより良いやり方を見つけていくのだ。大きなプロジェクトは、小さなモジュールに分割して、探索から集中を進められると良い。