次のプラットフォーム
その文脈で、次に伸びるプラットフォーム探しが続いています。
たとえば、a16zのChris Dixonは、2016年2月に書いた『What’s Next in Computing?』という記事の中で、「ソフトウェア+ハードウェア」が次のコンピューティングだとし、車、ドローン、IoT、ウェアラブル、VR、AR などを次に来るプラットフォームの候補にあげています。また、そうした次のコンピューティングを可能にする新素材や技術なども投資領域として挙げられるかもしれません。
過去のプラットフォームを振り返ってみれば、PCはメインフレームの数十倍の顧客を獲得しました。さらにARMベースのモバイルは、IntelベースのPCの約3–5倍のインストールベースを持ち、2020年までに世界の80%の人間がスマホを持つと言われています。
これまで次のコンピューティングプラットフォームは、前の時代のプラットフォームに比べて数倍の規模を持つ顧客を新たに開拓してきました。
そこから推測するに、モバイルの次のプラットフォームはさらにそれを数倍にするものになるはずですが、既に一人一つ以上のコンピュータ(モバイル)を持つようになっており、世界人口以上に伸びるプラットフォームが期待されています。そうしたなかでIoTやVRなどに期待がかかるのも当然なのかもしれません。
しかしIoTがもしスマホによって操作されスマホに依存するのであれば 、IoTを使ったサービスにお金を支払う人はスマホの人口以上には伸びず、VRやAR はせいぜい一人一台であるどころか現状はPCかモバイルのサブセットになるという懸念もあり、果たしてインストールベースが世界の人口以上に伸びるのか?という疑念も呈されています。
そうした状況もあるので、残念ながら次のプラットフォーム探しはまだ決め手が出てきていないというのが感覚としてあります。
それに「群衆のまねをすれば、平均に回帰することになります(平均的なパフォーマンスしか上げられない)」という、Warren Buffettの相棒であるCharlie Mungerの言葉にあるように、皆が狙っているプラットフォームを狙うのは得策ではないように思えます。