ソニーのDNAを金融に活かす
他社と同じことをしない。はじめは規模は小さくてもオリジナルでエッジの効いた製品やサービスを追求する。このソニーのDNAは金融事業にも生きています。
ソニーフィナンシャルホールディングス会長でありソニー生命保険の取締役会長の井原勝美氏はそう語る。ソニーの金融事業は1979年に参入時には疑問視する声も多かったが今では、ソニーグループの中で非常に大きな収益基盤となっている。
生保事業も損保事業も、銀行事業も金融経験の有無を問わない多様な人材がビジネスモデルを構築してきたという。
ソニー損保の場合、ダイレクトの自動車保険では、ここ10年でシェアを3.3%から7.4%と拡大し首位。ソニー銀行はシェアとしてはNo.1ではないものの、住宅ローンや外貨預金の分野では強みを発揮している。特に外貨預金の市場シェアは7.2%でありメガ銀行の3行に匹敵する。
ソニーの金融事業がここまで伸びてきた成功要因を、井原会長は「1.差異化されたビジネスモデルによる参入」「2.顧客第一主義による事業運営」「3.経営理念の継承」の3つだと分析する。
ソニー生命のライフ・プランナー制度のように、ひとつの契約にあたって、顧客との面会を数回繰り返すようなビジネスでは、顧客満足度こそが生命線であるとともに、対面を伴わないインターネット銀行もまた、Webを訪問した顧客の快適性が重視される。「顧客第一主義はビジネスモデルに組み込まれている」と井原会長は語り、「経営理念の継承」については次のように語る。
テクノロジーやビジネスが変わっても、経営理念が継承されなければならない。長く反映する会社とすぐに廃れる会社の差は、経営理念の伝承にあると実証的に教えてくれたのがジム・コリンズの『ビジョナリー・カンパニー』です。この本を、私は何度も読み返しました。
この「経営理念の伝承」は後に語られる、ソニー本社時代の失敗の話につながる。