オープンな「情報流通」や「購買活動」を支援し、製造業をリデザインし再活性化させる
——「インダストリー4.0」など、製造業におけるICT活用に大きな期待が集まる中、モノづくりを活性化するスタートアップとして、アペルザが注目されています。どのような思いで立ち上げられたのか、またどのようなことを事業として展開されるのか、ご紹介いただけますか。
アペルザ設立の目的は「製造業の再活性」です。日本のモノづくりについて聞くと、誰もが「過去は世界的にも強かった。でも今は衰退気味」と総じて言うんですよね。そこにあるイメージは必ずしもポジティブなものではない。でも、実際には現在も日本の経済を支えているのは製造業であることは間違いなく、そこをなんとか支援して活力を与え、産業構造の変革を試みることで日本市場そのものを活性化できるのではないかと考えています。というと、「だいそれたことを」と思われるかもしれませんが、本気でそれを目指しているのです。
そのためにはやや“劇薬”かもしれませんが、少し破壊的な力が必要と考えています。これまでの製造業の常識を覆すような「タブー」にも取り組んでいくつもりです。たとえば、何かを調達する際には見積りをとり、営業マンが商談をし、といった営業活動が行われてきました。しかし、多くの場合、限られた会社しか参加ができず、様々なしがらみや非合理性が残り、決して新しい価値を生み出すとは思えません。
一方インターネットの世界では、オープンソースに代表されるように様々な情報が開示され、その結果として多彩な連携が生まれ、業界としても急成長を遂げています。製造業も同様に、オープンな情報流通や購買活動が実現し、様々なコラボレーションが生まれれば、新たな価値を創出し、成長へと貪欲につなげられるのではないでしょうか。それは単にオープンソース化するという些末なことではなく、自らを開示し、多様性を受け入れ、異なるものとも連携していくというマインドシフトがあってこそ可能だと考えます。
——アペルザは、製造業を顧客としながらも業界としてはインターネット業界という、双方間のギャップを実感する立ち位置にあります。具体的にはどのようなサービスとして展開されているのでしょうか。
2016年7月に、製造業向けインターネットサービスを手がける「株式会社クルーズ」に、製造業に特化したコンサルティング企業「株式会社FAナビ」と、40年以上の歴史を持つファクトリー・オートメーションの業界紙、「オートメーション新聞株式会社」の2社が加わり、社名を「アペルザ」としました。製造業市場の中でも、特に工場等の製造現場で必要とされている間接材(生産財)にフォーカスしたサービスを提供しています。
間接材市場における購買プロセスに沿って、オフラインメディアとオンラインサービスが伴走し、新しい調達の在り方を実現しようとしています。
オンラインサービスの主力事業の1つが、製造業向けカタログポータルサイトの「Cluez(クルーズ)」です。電子部品や機械部品、設備から装置まで約3500分類を網羅し、提供側・購買側それぞれの企業が製品カタログを通じて出会いの機会を得ています。日本でのリリースと同時に台湾でも展開し、中国でも現地最大手企業と業務提携して進出を果たしています。
そしてもう1つ、「Aperza(アペルザ)」は製造業向け工業用資材の価格検索サイトです。価格.comのように資材の価格状況を調べるサービスで、見積りを取るなど時間がかかっていた製造業の調達購買の効率化を図ります。