スキルのなかったメンバーが育つのを見て「組織づくりの面白さ」に気づいた
宇田川(埼玉大学 人文社会科学研究科 准教授):
私は組織論の研究者なので、今日は組織という観点から、変化するためのヒントを得られればと考えています。中尾さんは長年リクルートにおいて組織づくりに取り組んでおられるということですが、これまでどんなことをされてきたのか、まずはお聞かせいただけますか。
中尾(株式会社リクルートホールディングス リクルートワークス研究所 副所長):
2017年4月からはリクルートワークス研究所*1の副所長として、研究所の価値をさらに上げていこうとしています。兼務で採用や就職支援に関する複数の事業を横串で考える「HR研究機構」、子育てしながら働く人の課題解決を目的とした「iction!(イクション)*2」というプロジェクトを担当しています。
入社当初は営業をやっていましたが、どちらかというと本社や事業の企画の仕事が長く、組織づくりに関心をもつようになったのは、リクルートマネジメントソリューションズ*3という会社の立ち上げに関わってからです。そのときは企画のメンバーが10人くらいいたのですが、みんな広報とか経営企画とかのスキルがないのに、気合だけでやろうとしていたんですね。でもやる気はめちゃくちゃあって、目をキラキラさせて学ぼうとしているので、教えたらものすごく伸びるわけですよ。それまで僕は、社内外のできる人を集めて難しい問題を解決するというプロジェクトベース仕事の仕方が好きだと思っていたので、「あれ? 人を成長させていきながら進めていく仕事も楽しいじゃないか!」と気づいたのがその時です。
その後、リクルートの本社に異動し、当時は「住まいカンパニー」のトップだった峰岸(編集部注:現任の株式会社リクルートホールディングス代表取締役社長 兼 CEO峰岸真澄氏)の仕事を監査するという役割をしていました。1年ほど峰岸がカンパニーを経営するのを見ていて「自分もスタッフじゃなくて事業をやりたいな」と思っていたところ、峰岸の配下の「スーモカウンター*4」をやらないかという話をいただきました。そこで、事業の立ち上げから6年間担当して大きな組織にさせていただき、その後は3年間リクルートテクノロジーズという会社の代表取締役をやっていました。