未来を作る仕事に共通する、“将来のファクト”を自分の主観で切り取る能力
入山:
複雑なものをまるっと受け入れ、学ぶ大切さを強調されながらも、佐山さんはネットワークの複雑さを下記のような「グラフ*4」と呼ばれるデータ構造にして、体系や共通性などを見出そうとされているわけですよね。
佐山:
ええ、そうです。ただし、事実として「ground truth(グランドトゥルース):絶対的真理」があったとしても、自分たちが「どう理解したいのか」次第で見えるものが変わってきます。たとえば、クラスタの距離を計算して、つながりが密な部分にコミュニティがあると考えて、そこに名前をつけることはできますが、それ以外のつながりや瑣末な部分を捨てることになります。つまり、理解するというのは自分が持っている構造をそこに当てはめることなんです。しかし一定部分を理解したつもりでも、その際に失われるものがあるということを知っておかなければなりません。