知人に認識されている「あなた」と、見知らぬ土地での「あなた」は違う人間──万物は「つながり」の中で定義される
入山:
ここまでお話を伺ってくると、「holism(ホーリズム):全体論」で複雑系を見ようとすると、「全体を捉えたいけど、捉えられない」という凄まじいジレンマがあることに気づかされます。となると、佐山先生は研究者としてどうされようとしているのでしょうか。
佐山:
まさに「宇宙全体を知りたいと思っても無理」という状況のなかで研究・解明に取り組む宇宙学者みたいなものですよ(笑)。アプローチとしてはこれまで還元主義で見つけ出されてきた以外の部分、「わからない部分」に焦点を当てて考察しようとするという方法になるわけです。それは確かに手法としては全体を捉えているとは言えません。でも、目的は宇宙を知ることであり、全体を知ること。その意味では全体論なんです。