デザイナー坪田氏が語る、イノベーションを起こす組織に必要な「独立性」と「クリエイターがモチベーションを保てる環境」
坪田氏が所属するOnedot株式会社は、ユニ・チャームとBCG Digital Venturesが共同出資したジョイントベンチャー。2016年11月より中国の若い子育て世帯をターゲットとした動画メディア「Babily(ベイビリー)」を運営する。
これまでlivedoor、DeNAといったいわゆるメガベンチャーで、デザイナーという立場から多くの新規事業に関わってきた坪田氏。またUI/UXデザイン領域を専門とするデザイン組織の立ち上げやデザイナーのコミュニティ作りにも尽力。事業開発に組織作りから関わり、進めてきた。そしてBCG Digital Ventures在籍中に、Onedotの前身となるプロジェクトチームにデザイナーとして参加する。
プロジェクトへの投資が決まり、Onedotとして独立する際に坪田氏も転籍。サービス開始1年で200万ユーザーを獲得したBabilyの成長を支える組織体制、そしてデザイン思考によるサービス開発について語った。
デザイン思考の知識は理解したが、実践となるとなかなか難しいというのが新規事業を立ち上げたいと考える企業の本音であろう。そこから一歩抜け出すポイントとして、物理的なオフィスのスペースも含め「事業開発のチームを親会社から独立させること」を坪田氏は挙げた。
よくあるケースが、企業内で新規事業のためのチームを発足。担当者たちは、他の業務も抱えつつ兼任して新規事業にあたる。事業として成長した、または可能性が見込めるというタイミングでリソースをフルに投下し子会社化・・・というものだ。しかしこれでは、イノベーションが起きづらいと坪田氏は指摘する。事業立ち上げに必要な視点として、次の5つを紹介した。
- 投資判断の基準は社内でなくVC目線
- ルールやカルチャーの独立化
- 実行者のインセンティブ
- 兼業ではなく専業
- 実行する人間がキャリアをかけられるか
とくにイノベーションが起きる組織のためには、実行者・実務担当者ともにモチベーションがあがり、キャリアをかけてその事業へ取り組めるかという環境を築くことが重要だ。例えば実行者にはストックオプションの配分を考慮する。また採用ルールやオフィスルールを柔軟性の高いものにするなど、大企業の持つ固定観念を押しつけてはならない。
上海と中目黒に拠点を持つOnedotは、起業時にオリジナルのルールを設定。スキルの高い人材の採用に功を奏したという。