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反脆弱的な組織デザイン──外側に求める程よい越境、内側で探すポジティブな逸脱者

Biz/Zine Day 2017 Premium Vol.3

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人工生命研究家との対話でわかった“1000年続く組織”にある特徴は「頑強」ではなく「反脆弱(アンチフラジャイル)」

 宇田川氏は2016年まで9年ほど九州の大学での勤務を経て東京に戻り、現在は埼玉大学の学部と社会人大学院で教えている。講演や執筆等も含めてビジネスパーソンとの接点が増え、「先生の言っていることは分かる。でも、自分の会社や業界ではできない」という悩みをよく聞くようになったそうだ。勉強して知識を得ても、実践に結びつかないというギャップがあるのだ。そこから抜け出すにはとにかく実践し、その過程で学んでいくしかない。そして、その過程こそが大事だというのが、宇田川氏の立場だ。これは今回の講演のサブテーマである「反脆弱性」という考え方と重なっている。

 「反脆弱性」とは、『ブラック・スワン』のナシーム・タレブが『反脆弱性――不確実な世界を生き延びる唯一の考え方』で提示した考え方で、英語ではanti-fragilityである。

 これまで私たちが何かを作ろうというとき、すぐ壊れてしまうような脆弱性(fragility)を避け、その反対の性質として「頑健性(robustness)」を追求してきた。アイデアにしても、科学的に証明された頑強な理論を目指しがちだ。しかしタレブは、頑健性の追求には限界があると指摘し、「反脆弱性」という概念を提示した。宇田川氏はそのイメージを伝えるものとして、先にBiz/Zineの記事にもなった人工生命の研究家らとの対話*1の中で出会ったコンセプトを紹介した。

例えば1万年壊れない建物とはどういう建物か? ということです。建物は、どんなに頑丈に設計しても環境が劇的に変われば壊れてしまうことがあり得るわけです。ということは、環境の変化によって建物自体が進化するようなことが必要です。例えばすごい雨季になったときに、雨が降れば降るほど強くなる性質に変わるような、そんな進化のシステムを内包していないと1万年はもちません。

同じく、1000年もつ組織はどういう組織かと考えてみると、戦略的に完璧な設計がなされている組織ではないわけです。反脆弱的な組織というのは、必要に応じて形を変えられるような進化の仕組みを持っている組織でしょう。自己組織化だけではなくて自己組織化のルールを打ち破って再自己組織化ができるような、それを繰り返せるような組織であるはずです。

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