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共創し学習する新しい組織論

人工生命研究者が語る「近未来に最適化」するAI、「1万年単位で動くもの」を目指すALife

ゲスト:株式会社オルタナティヴマシン代表取締役青木竜太、岡瑞起、最高科学責任者池上高志氏 第1回

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 本シリーズでは、2007年の創業時から新しい経営方法を追求してきたダイヤモンドメディア株式会社の武井浩三代表取締役と、イノベーティブで協働的な組織のあり方とその実践について研究を行う宇田川元一氏(埼玉大学 准教授)が、これからの組織とそこに近づく方法について様々な方と語り合う。今回は人工生命(ALife)の研究者集団オルタナティヴ・マシン(Alternative Machine Inc.)の創業者3名を迎え、生命を作るという研究を通して何が見えてくるのか、そこから組織や社会を見るとどのようなことが言えるのかを語り合った。前・後編でお届けする。

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人工生命の理論や技術を社会応用するための研究者集団

青木(株式会社オルタナティヴ・マシン[Alternative Machine Inc.]):
 はじめまして。僕らの会社を一言で説明すると、「人工生命」、英語で言うとALife(Artificial Life)の理論や情報技術を社会応用するための研究者集団です。生物学が我々が既に知っている生命(Life-as-we-know-it)を対象とするのに対し、「ありえたかもしれない生命(Life-as-it-could-be)」をコンピューターシミュレーションなどのソフトウェアやロボットなどハードウェア、化学反応などのウェットウェアを作り、そこから生命の成り立ちや仕組みなど生命の本質を理解しようとしています。研究テーマは自律性、自己組織化、進化などといったことから哲学やアートなど、非常に多岐にわたります。(人工生命の基礎的な解説に関しては、Biz/Zineのコラム参照)。

 オルタナティヴ・マシンは、岡さんと僕が代表となり、池上先生に最高科学責任者として研究顧問になっていただくという形で、3人で立ち上げました。

 池上先生は東大で、複雑系科学やALifeを専門に研究されています。僕自身はこれまで、コミュニティを作るということをずっとやってきました。以前はソフトウェアの開発をしていたので、その設計手法や考え方を応用して、主にアートやサイエンス、カルチャー領域で、コミュニティデザイン、イベントデザイン、プロジェクトのプロデュースや事業開発などをやっています。

 岡さんは筑波大学でウェブサイエンスの研究をされていて、その前は東大の「知の構造化センター」にいたんですよね?

青木竜太青木竜太氏(株式会社オルタナティヴ・マシン代表取締役 / ヴォロシティ株式会社 代表取締役社長)

岡(株式会社オルタナティヴ・マシン代表取締役/筑波大学システム情報系 准教授 工学博士):
 知の構造化センターは2007年に設立され、私は人工知能を研究している松尾豊先生により、他の2人のコンピュータサイエンスの研究者と共に呼ばれました。それぞれの分野でデータを取ってきて、それを元に知を構造化し、コンピュータサイエンス以外も含む様々な分野の人に使ってもらえるようにしようということで、5年ほど活動した後、私は出身の筑波大学に戻りました。それまではウェブから知識を抽出するということをやってきたのですが、もう少し生命的な視点から社会現象や自然現象としてウェブを捉えた方が面白いのではないかという観点で池上先生とご一緒するようになりまして、研究を行っています。

 青木さんとは昨年、文科省の「COI(センター・オブ・イノベーション)」の中の研究系のコミュニティに呼ばれた時に知り合って。人工生命の学会が来年初めて日本で開催されるということもあり、日本の人工生命分野のコミュニティ作りと社会応用のための活動をしていきましょうということで、会社を立ち上げることになりました。

岡瑞起岡瑞起氏(株式会社オルタナティヴ・マシン代表取締役/筑波大学システム情報系 准教授 工学博士)

青木:
 オルタナティヴ・マシンには、池上先生のお弟子さんや盟友の教授の方々に研究パートナーになっていただいていて、ここまで人工生命の研究者たちが集まっている会社は他にないと思います。コンセプトは、「あらゆるものに生命性をインストールする」。プロダクトやソフトウェア、組織など、いろいろなものに生命性をインストールしていきたいと考えています。

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