ビジネスとアートが交差する、遠山さんの経営における美意識──「切っ先の鋭さ」と「啐啄の機」とは?

鼎談ゲスト 株式会社スマイルズ 代表取締役社長 遠山正道氏:後編

 本連載では、『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』の著者・山口周氏と、イノベーティブで協働的な組織のあり方とその実践について研究を行う埼玉大学の宇田川元一准教授が、ゲストと共に「美意識経営」を探求する。株式会社スマイルズの遠山正道社長を迎えた第1回の前半では「Soup Stock Tokyo」、「PASS THE BATON」、「海苔弁山登り」といったビジネスが生まれた背景にある遠山氏の考え方が語られた。後編は、遠山氏のようなプロデュースのプロフェッショナルになるためのヒントや「The Chain Museum」で具現化しようとしているこれからのアートのあり方を伺った。

[公開日]

[語り手] 遠山 正道 山口 周 宇田川 元一 [取材・構成] やつづかえり [写] 長谷川 梓 [編] 栗原 茂(Biz/Zine編集部)

[タグ] ワークスタイル 事業開発 企業戦略 美意識

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「100年続く」は目的にならない。世の中からお呼びがかからなくなればやめればいい。

宇田川元一氏(埼玉大学 人文社会科学研究科 准教授、以下敬称略):「PASS THE BATON」と「海苔弁山登り」はひとつ共通点があるな、と思ったことがあるんです。それは、丸の内で古着とか、GINZA SIXで海苔弁、みたいな……。

遠山正道氏(株式会社スマイルズ 代表取締役社長、以下敬称略):ちょっとやんちゃ好きなんですよね。オルタナティブというか、人と同じことをやっても意味が無いというか。

「The Chain Museum」も、今あるアートの一部を切り出して持ってきても私がやる意味ないと思っていて。「我々なりの見立て」とか、「これはアート業界の人できないよね」とか、そういうふうに捉えるとグッと楽しくなるんですよ。良く言えばチャレンジだし、要は二番煎じ的なものは盛り上がれないんですよね。

ちょっと変なところに差し込むとか、「こうきた?」みたいなことになるけれど、特段の発明ではないんです。海苔弁もネクタイもリサイクルも、昔からあるんだけど我々がやるとこうなった。それぐらいが、さっきお話した奥ゆかしさみたいなものも含めていいんじゃないかな。

宇田川:いいですね。

遠山:(側に立てかけてある絵を指して)これもね、事業計画なんですけど、1本の木から始まって森になっていくんだけど、最後はニワトリ一羽になっちゃうという、なくなっちゃう感じなんですよね。

自分でもよく分かってないんだけど(笑)、次の10年は「これを見ているあなたが描いてね」ということなんです。事業計画って、普通だと右肩上がりで拡大するようなことが目標になるけれど、僕は百よりも千が偉いということはないと思っているんです。よく100年続く企業とか言うけれど、そういう風には考えられなくて。舞台の役者みたいなもので、お呼びがかからないのに出ていくのは、恥ずかしいじゃないですか。

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山口周氏(コーン・フェリー・ヘイグループ株式会社シニアクライアントパートナー、以下敬称略):そういう人、いっぱいいますけどね。

遠山:企業も、世の中からお呼びがかからなかったら、もうやめればいいと思いますね。役者がずっと舞台に上がり続けることを目的化すると、かなり気持ち悪い。だから企業も100年続くこと自体が目的にはならない。結果として100年続くのはいいんですけど。

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