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ジョブ理論の使い方──顧客のジョブを起点に部門横断型で起こすイノベーションとは?

Biz/Zine Day 2018 Spring レポート Vol.3

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顧客のジョブを起点に、部門横断型でイノベーションを起こすには──大企業でのジョブ理論の活かし方

 このジョブ理論を、なぜ今その商品が「雇われて」いるかを知るだけに使うのではもったいないと津田氏は話す。いろいろな場面で利用し、ビジネスにイノベーションを起こすことができるのだ。

 ジョブ理論は以下の4つの場面で活用できる。

ジョブ理論

 まず、全社の成長戦略。全社成長戦略は一般に経営企画部門などが考えていく課題である。次に、次にビジネスモデルを変えイノベーションを起こしていきたい時。新規事業部門や経営企画部門などが取り組んでいる課題だ。3つ目が新商品開発。これは研究開発部門が持っているミッションである。最後に、マーケティング部門が戦略を考える時にも使える。各部門でのジョブ理論の活用方法を、例を挙げながら説明しよう。

 企業は、たとえば製薬会社であれば「薬を作っている会社だ」といったように、提供している商品・サービスで自社を定義しがちである。そこから全社成長戦略を考えると、新たな薬を開発しようという方向で考えてしまうかもしれない。

 しかし成長戦略を考える時に顧客のジョブを考えていくと、製薬会社の商品を顧客が買っているのは「健康になりたい」というジョブがあるからだと見えてくる。そう考えると、M&Aや研究開発の指針を立てる方向性も変わってくる。

 その際、前述した「ソリューションへの障害から考える」を利用して顧客のジョブを深掘りすることが有効である。たとえばとある薬が高すぎるために使いたいのに使えない等の金銭的な障害があるなら、低価格の商品を開発したり、支払いのハードルを下げたりすることが考えらられる。薬を毎回きちんと服用する能力にハードルがあるなら、服薬支援のアプリ開発なども考えられるだろう。

ジョブ理論

 こういった発想でビジネスモデルをイノベーションしている企業は多数ある。例えばSTEAMというゲームプラットフォーム企業は、もともとはゲーム開発会社だった。しかし、ゲームを作りたい企業は世の中に多数ある。STEAMの解決する顧客のジョブが「楽しい時間を持ちたい」であるならば、自社で開発するのではなく、他社が開発したゲームを提供する場としての事業を行うほうがいい。

ジョブ理論

 新商品開発でジョブ理論を使って考える場合はこんな具合だ。例として計測器メーカーの場合をあげよう。計測器メーカーが自社を「計測器を作る企業」として定義していると、新しい計測器を作るということしか思い浮かばないかもしれないが、計測器を購入する企業は「自社の製品の品質をあげたい」という動機がある。また、計測器は導入コストが高くて社内稟議が通らず、セットアップが難しいので、少々使いづらくても使い続けるというぎこちなさが見えてくるかもしれない。そこからジョブを考えるとサブスクリプション型の月額サービス商品を作るいう方法が見えてくる。

ジョブ理論

 マーケティングにジョブ理論を使う場合はこうだ。冒頭のミルクシェイクの事例を思い起こしてほしい。ミルクシェイクが「雇われる」のは、退屈しのぎというジョブのためだった。そういった場合に、「果汁を30%に増やした」とか「バナナ味が出た」というプロモーションは顧客に“刺さらない”。それよりも「ゆっくり飲んでも飽きがこない」と訴求するほうがいいのだ。

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オープン化するSECIモデル──社外の形式知を内面化してイノベーションを起こしていく

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