CXは一度計測して終わりではない。継続的に確認し、施策の効果を検証することが重要
須藤氏はもうひとつの分析手法としてカスタマージャーニーマップ上に購買への影響度と、影響の方向性すなわち強みなのか弱みなのかをマッピングする方法を紹介した。こうすると、影響度は大きいが弱みになっている部分が明示的になり、かつ改善して「NPS®」が上がった場合の収益改善の算出までできるため、手を打つべき内容の優先順位付けがしやすくなる。
さらに、アンケートでは自由記述による回答があるので、それをテキストマイニングにかければ、例えばマイページの使いやすさを向上するには何をすべきかということのヒントが見えてくるだろう。
実際、Emotion Techの支援を受けたアパレル企業の事例では、「店員の接客」がNPSに影響しており、「店員の接客」を構成する要因の中で「親身さ」が強みに、「レジ対応」が弱みになっていることが分かった。弱みを改善し、強みを伸ばす施策を行ったところ、当初10だったNPSが20に向上し、収益にも好影響を与え始めているという。
最後に須藤氏は、CXMを一時的な活動として終わらせるのではなく、継続して定期的にCXのデータをとり、タイムリーに対処していくことの重要性を語り、講演を締めくくった。
顧客体験価値を高め、売上を増加させるためには、定常的に顧客からの評価を集め、改善につなげていくことが最も重要です。顧客の抱えている課題をリアルタイムに把握し、改善を積み重ねていくことで、顧客目線に沿ったサービスの提供が可能になります。
シンプルな質問で定期的に計測し、システムやテクノロジーを活用して分析までのスピードを早め、優先課題にタイムリーに手を打っていく。
打ち手によって顧客の感情がどう変わるのか。本当に変わるのであれば、効果的な施策と継続していきますし、効果がなければすぐに止めて違う手を打つことができます。そのため、顧客の感情をしっかりと定点的にとっていくことが重要なのです。
注:NPS®は、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、サトメトリックス・システムズの登録商標です。