顧客は「企業の大義」や「事業への本気度」を感じ取る──マーケターは自社の課題を認識しているか?
荻野英希氏(FICC代表取締役・以下、敬称略):これまで150以上の商品開発を行ってきたBlabo!は、その数だけ生活者のインサイトを発見してきました。一方で、うまくいかなかったケースもありますか?
坂田直樹氏(Blabo代表取締役CEO・以下、敬称略):たくさんありますよ。傾向として同じような課題だとしても、企業の熱意が感じられず、本当に企画を実現したいという気持ちが弱いと、ユーザーからの反応に深みがなく、意見の量も少ないですね。企業は「なぜそれを行うのか?」という原点に向き合い、課題を理解していることが必要です。
荻野:企業が課題をつかめていないと坂田さんたちも動けないし、Blabo!ユーザーに対しても明確なブリーフィングができない。結果、企画が失敗してしまう。
Blabo!が商品という「物」を扱うのに対し、私の仕事はブランドやその「意味」の設計を専門としています。ブランドは、機能と情緒・ベネフィットで構成され、さらにその上に、大義のような社会に貢献できる企業の目的が存在している。ユーザーは商品を通して、「企業が自分たちにとって何を解決してくれるのか、真剣であるか?」も感じ取っているんですね。
坂田:Blabo!は企業と生活者が直接対話をして、結ばれるプラットフォームです。いわば僕らは、ファシリテーターにすぎません。インサイトを発見するため、明確に自分たちの課題を捉えブリーフィングを行うスキルは、企業のマーケターにとても必要です。