「ジョブの細分化」からもイノベーションは生まれる──ODIプロセスとジョブを阻む障壁

第4回 ゲスト:INDEE Japan 代表取締役テクニカルディレクター 津田 真吾 氏(後編)

 ゲストにINDEE Japan 代表取締役テクニカルディレクター津田真吾氏を迎えた対談の後編。前編では、「顧客のジョブ」は作るのか発見するのか、3種のジョブとは何か、感情的なジョブの4象限、オファーとニーズとジョブの関係などを議論した。
 本稿では、ジョブのサブカテゴリーから生まれるイノベーション、顧客の「ジョブ雇用」を阻む4つの障害、ジョブ理論に影響を与えたODIプロセス、ニーズとベネフィットとジョブの関係性などが語られた。「ジョブ理論」を起点とした議論は、ブランドマーケティングと新規事業開発の相違点、共通点を浮き彫りにした内容となった。

[公開日]

[語り手] 津田 真吾 荻野 英希 [取材・構成] マチコマキ [写] 長谷川 梓 [編] 栗原 茂(Biz/Zine編集部)

[タグ] マーケティング 事業開発 ジョブ理論

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

ジョブの細分化からもイノベーションは生まれる──“過充足”の中に“未充足”のジョブを見つけるODIプロセス

荻野 英希氏(以下、敬称略):クリステンセン教授は『ジョブ理論』において、“破壊理論を適用すべきではない多くの現象や状況を説明するのに使われてきた”と、その誤用について書かれていますね。

津田 真吾氏(以下、敬称略):同じような誤解として、「イノベーションとは意外なところにあり、変わることである」という思い込みがありますね。イノベーションは、ジョブの細分化が元になっていることも多いのです。

荻野:ブランドに関しても、『The Origin of Brands』(アル・ライズ、ローラ・ライズ、2004年)という本の中で、「ブランドはサブカテゴリを狙うことによって、いくらでもブランドを作ることができる」と語られています。また個人的な経験としても、私はウェブデザイナーからキャリアをスタートしたのですが、「ブランドサイトを専門にしています」と名乗ると、そのようなお仕事が集まってきました。これは、デザイナーという仕事の細分化をしたからです。

津田:ジョブのサブカテゴリ化の例を挙げると、スタートアップや中小企業をターゲットにしたクラウド型の会計システムがありますね。あのサービスは無料だからではなく、最低限の会計をシンプルに実現してくれるから雇用されているんです。

荻野:ジョブのサブカテゴリ化には、アウトカム・ドリブン・イノベーション(ODI)のプロセスが使えますよね。

津田:まさにそうですね。ODIとは、アウトカム(成果)をヒアリングすることでアンメット(未充足)なニーズを導き、そこから新しいジョブを見つけるというものです。クリステンセンのジョブ理論」が影響を受けたとされる、アンソニー・W・アルウィック氏のイノベーションプロセスですね。

荻野津田さんによるODIの解説記事では、“アンメットニーズ起点”のイノベーションプロセス「ジョブ・ニーズフレームワーク」を書籍から引用し解説されていました。具体的にどのようなものでしょうか。

津田:「ジョブ・ニーズフレームワーク」とは、普遍的な「機能的ジョブ(〜がしたい)」を中核にして、周辺のジョブや感情的ジョブ、消費する上でのジョブを挙げると同時に、顧客がジョブをどのように解決したいのかという「期待アウトカム」があるのが特徴です。機能的ジョブは普遍的であり、地域性もない。そこから顧客の状況に応じて、ジョブを解決するためのステップごとにブレークダウンしたステップを用い、ジョブを洗い出すことを可能とします。

タイトル

荻野:50から150の期待アウトカムですか。結構、ここからの絞り込みが大変そうですね。

津田:数多くのジョブが抽出できると、その中からビジネスとして有望な機会を選択するための「機会マトリックスの4象限」が使い勝手がよいツールだと、ODIでは紹介されていますね。私たちは全社的な戦略や、既存ビジネスとのシナジーなども考慮します。

タイトル

バックナンバー