「いい〇〇」に刺激を与えるためのパーセプションフローを考える
マーケティング業務を行う上で必要な諸要素をさらに詳しく確認した上で、講座はパーセプションフローの具体的な書き方に進んだ。パーセプションフロー・モデルは、たとえば以下のように作られる。これは、夜シャンプーをしている間に髪を芯からまとめやすく整えて寝癖を防ぐヘアケア・ブランドXを想定したものだ。
まず右上の目的欄を記載した上で、現状のターゲットの行動を書く。そして現状のパーセプション欄に今の時点でターゲットが思っていることを書いた上で、購入時の段階ではターゲットが何を感じ、考えているかをパーセプション欄に書いていく。その後、再購入時と口コミ時でのターゲットのパーセプションを書き込んだのちに、それ以外の段階でのパーセプションを論理的に記載。続いてそれぞれの行動段階でターゲットが体験すべきことを現実的に記載する。そして、パーセプションに変化をもたらすための知覚刺激を書き込んでいくのだ。
知覚刺激として「使用時に外すシーズに『忙しい朝、3分時短』と伝達」「朝活関連の記事で、朝時間への意識を高める」など書き込まれているのを見ると、そこまで考えるのかと興味深い。
音部氏の「研究開発チームが力を入れたポイントやコンセプト調査で好評価だったポイントを入れたくなるが、大事なのはターゲットがどんな気持ちで行動するかです」という指摘も納得がいく。すでに描かれたモデルを見ながら書き方を学ぶと、作成は容易に見える。
そこで、講座では4つのグループに別れてパーセプションフロー・モデル作成に取り掛かった。お題は、前述の「ヘアケア・ブランドX」にプレミアム成分を配合したロングヘアのライン拡張商品についてである。ところが取り掛かってみるとなかなか難しく、音部氏、荻野氏の両講師に具体的な質問が飛ぶ。
講師の二人も各チームのワークシートを見て、「知覚刺激のこの欄に『美意識の高いロングヘアの人の7割が……』と書いているけれど、ここを9割にできるような前提はないだろうか。たとえば『髪が50cm以上のストレートヘアの人の9割が……』というように。知覚刺激を最高に高めるにはどうしたらいいかを考えることが大事です」などと具体的なアドバイス。ワークショップ後は実際にパーセプションフロー・モデルを作ってみたことでわかったことを参加者同士で共有し合った。