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サピエンス消費

“仮説製造ツール”としてのサピエンス消費──仮説力を高める実践法とは?

サピエンス消費:第3回(最終回)

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 サピエンス消費は、消費者や生活者を「生物としてのヒト」=「ホモ・サピエンス」として捉え直し、生物進化の過程で備わった本能の視点から消費を読み解く(洞察する/インサイトする)方法論である。これまで2回にわたって、その概要とフレームワークをご紹介してきた。最終回となる今回は、サピエンス消費の発想をビジネス業務に応用する実践法について解説する。

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“仮説製造ツール” としてのサピエンス消費の強みとは何か?

 サピエンス消費の発想をリサーチ実務やビジネスアイデア創出に活用する方法はとてもシンプルだ。簡単に言えば、消費行動に関する“仮説製造ツール”としての使い方である。ビジネスの大家たちが往々にして言うように、仮説の重要性を指摘しても指摘しすぎるということはない。

 我々は、調査データを読むにしても、マーケティング施策の結果を読むにしても、自分では気づかない固定観念から物事を「こういうことだろう」と決めつけてしまいがちだ。これにより、いつもとそれほど変わらない仮説にしか到達できない、ということがよく起こる。この固定観念を、サピエンス消費の発想は打ち破ってくれる。これまでのコラムで紹介したとおり、サピエンス消費は、人類進化のプロセスから、消費に関する心理や行動を読み解く方法論である。いわば、現代人である「消費者・生活者」として見ていた対象を、進化の観点から強制的に「ヒトそのもの」にシフトしてくれるのだ。

 消費行動を対象に仕事に携わる方にとって、「現象→仮説→検証」のサイクルは、多かれ少なかれ普遍的な仕事の流れだろう。

 このサイクルの「現象」とは、世の中のあらゆる動きやニュース、消費トレンド、ヒット商品、ビッグデータ、調査データ、広告キャンペーンの結果、自社商品の販売数値・・・などあらゆる現象のことを指す。これらの現象はすべて定性・定量に関わらず「データ」に置き替えられるので、「現象=データ」と言い切ってもよい。

 我々はそれほど意識しなくとも、自然とこれらの現象を読み解いて、何らかの仮説を作っている。例えば、ある消費トレンドを見かけたとき、「これが流行っているのは、たぶん○○だからだ」というように。この仮説がうまくできると、ときどき「インサイト」などと呼ぶこともある。

 仮説ができたら、今度は仮説を検証するだろう。検証は、いったん調査にかけて様子を探るということをイメージしがちだが、いきなり商品化して売り出すことも検証だとえる。こうして検証したあとの結果が、サイクルのはじめにある「現象」(=データ)となって、再び我々のところに戻ってくる。これが、「現象→仮説→検証」のサイクルだ。

 サピエンス消費の発想が得意とする仮説製造ツールとしての機能は、このサイクルの「仮説」のフェイズでその能力を最大限に発揮する。しかも「現象」が「人間行動」に関するものでありさえすれば、そこから何でも仮説が作っていける。

サピエンス消費

 これは難しい話ではなく、普段皆さんが自然にやっている「現象→仮説→検証」のサイクルの話だ。そのサイクルのなかの「仮説」というフェイズで、ふと思い出したときにでも、サピエンス消費の発想を気軽に使ってみていただきたいのである。

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この記事の著者

水師 裕(スイシ ユタカ)

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