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サピエンス消費

なぜ男性は浮気するのか──トリガーとモジュールで消費を理解する「進化本能モデル」

サピエンス消費:第2回

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 前回は、筆者のラボが研究に取り組む「サピエンス消費」の大枠について紹介した。サピエンス消費では、消費者や生活者を「生物としてのヒト」=「ホモ・サピエンス」として捉え直し、生物進化の過程で備わった本能の視点から消費を読み解く(洞察する/インサイトする)、というアプローチを取る。今回は、リサーチ実務やビジネスアイデア創出に活用できるサピエンス消費のフレーム「進化本能モデル」のエッセンスについて解説する。

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サピエンス消費へのソリューション、「進化本能モデル」とは?

 「サピエンス消費」の立場から具体的に消費行動を読み解くフレームとして、筆者は「進化本能モデル」を提案している。進化本能モデルでは、前回紹介した「モジュール」から人間本能を捉える。モジュールとは、「遺伝子の生存」にとって有利な「心の働き」が環境に適応し、機能別に進化したものだ(別の言い方をすると、特定のモジュールを備えた者だけが生き残った)。進化心理学によれば、我々ホモ・サピエンスの「心」とは様々なモジュールの集合体である、と定義される。進化生物学、進化心理学、脳神経科学、人類学、認知科学といった生物進化に関わる様々な研究領域の知見をベースに、モジュールを大きく4つに分類し、ビジネスで使いやすいよう独自モデル化したものが「進化本能モデル」である。

進化本能モデル

 進化本能モデルでは、「ホモ・サピエンスの消費行動は、遺伝子の生存が最終目標」という究極のサピエンス・インサイトを想定している。インサイトというからには、買い手も売り手も誰もが「意識」の上でそのことに気が付いていない点が重要である。人類進化の過程で、モジュールは遺伝子の生存に有利な働きをするよう設計されてきたが、それはあくまで進化的に備わった非意識的・直感的な心の働きであることを重ねて強調しておきたい。

 仮に「なぜそれを買ったのですか?」とインタビューしても、買い手は「それは遺伝子の生存のためです」とは答えられないのである。しかし、モジュールは遺伝子の生存が有利になる方向に「働いてしまう」。この進化的な心の働きをモデル化したものが進化本能モデルであり、これを叩き台として消費行動を理解するというイメージをお持ちいただきたい。

 前回、「サピエンス消費の考え方は、消費行動のリサーチとそれに基づくビジネスアイデア創出の局面で活用可能」と紹介した。具体的に進化本能モデルを活用する場合、ターゲット顧客の持つモジュールと、それを動かす「トリガー」(引き金、スイッチ)となる刺激を区別して把握することが重要だ。

 その上で、商品開発や広告プランニングなどの課題に応じ、(1)リサーチの段階では、ターゲット顧客のモジュールとトリガーの関係をインサイトし、(2)アイデア創出の段階では、モジュールを自社に有利な方向に動かす「新たなるトリガー」のアイデアを創出していくのである。

トリガーとモジュール写真:「刺激-反応化」する消費市場では、多様な「刺激」がトリガーとなりサピエンスのモジュールを動かして、消費行動の自動的な「反応」を引き起こしている。マーケターは「新たなるトリガー」を多重に創出し、巧妙に配置する必要がある。

 次に、進化本能モデルの4つの基本モジュールについて、それぞれのエッセンスを解説していこう。

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この記事の著者

水師 裕(スイシ ユタカ)

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