大規模なデータをリアルタイムに収集・処理し、造船・輸送・製造ビジネスを革新する
植松氏に続き登壇したのが、インターシステムズコーポレーションのデータプラットフォーム製品プロダクトマーケティングの責任者、ジョセフ・リヒテンバーグ氏だ。
現代社会では日々膨大な量のデータが指数関数的に生み出されているということに異論を唱える人はいないだろう。そして、その膨大な量のデータ分析をリアルタイムで処理する必要がますます増加している。たとえばクレジットカードの不正検知を考えればわかりやすい。かつてはカード番号、口座番号、与信限度額を超えるかどうかという点に判断基準があったが、今ではそれに加えて、トランザクションがその日のいつどこで、どの加盟店で発生したか、発生した加盟店数はいくつか、特徴的な犯罪的傾向はないかなど、多種多様なデータを一瞬に分析し、判断する必要があるのだ。
ところが、前述のIDCが502社を対象に行った調査によると、変更データキャプチャ(CDC)処理に依存するリアルタイムアプリケーションで、データを分析可能にするまでの所要時間が1分未満だったのはわずか4.0%にすぎなかった。このリアルタイムのデータ収集・処理という点にも、データ駆動型ビジネスへの変革が成功するかどうか、鍵になると植松氏、リヒテンバーグ氏は指摘する。
スペイン海軍、オーストラリア海軍等、海軍向け造船事業を行うスペインの造船会社 Navantia(ナバンティア)は、競合との優位性を保つため、インターシステムズのデータプラットフォームを利用して船の頭脳に当たるコントロールシステムを独自開発した。インターシステムズのデータプラットフォームを使うことで追加システムの開発時間が80%削減できた事例だが、そのシステムでは船を360度全方位にわたってコントロールを行うため、65,000のリアルタイムでのシグナルを検知・管理し、予測保守にも活用している。
また世界第2位の市場占有率、船舶数を誇るスイスの輸送会社メディテラニアン・シッピング・カンパニー(Mediterranean Shipping Company S.A、以降MSC)も、インターシステムズのデータプラットフォームを活用することで、大規模なデータをリアルタイムで分析しビジネスを推進することに成功している。MSCでは、1,200万ものコンテナを、世界270の湾港を利用して輸送している。コンテナには、スマートデバイスがつけられており、MSCはUberの配車アプリのように世界中のコンテナの位置をリアルタイムで把握している。コンテナ輸送には、船荷証券など多くの署名付き書類が必要で、権利のあるユーザーが必要な書類を常に閲覧できるようにして、荷物の状況確認や輸出入の手続きを簡素化したほか、悪天候を予測すれば船の航路を変えて、予定通りに港に到着するような制御もしている。
製造業でもデータ駆動型ビジネスへの変革は起こっている。ありとあらゆる製品にセンサーがつき、部品交換等のアラートを出すことで予測保守を行うといったデータの使い方はもちろんだが、別の使い方もあるという。総合設備効率(OEE)の改善に使うのだ。最近、製造業で重要なKPI指標として使われているOEEは製造設備の質を測るものであるが、製造する製品にはセンサーが入っていなくとも、設備自体にセンサーを入れ、生産性を高める企業が増えてきていると、リヒテンバーグ氏は伝えた。