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デジタル時代のNPSの本質

従業員と顧客のロイヤルティを高めたアメリカ企業――顧客中心の“組織構造”とツールによる“実行機能”

デジタル時代のNPSの本質 第4回

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企業文化を“顧客中心主義”に変えた内的アプローチ――顧客支持を失った企業が、再び顧客に愛されている背景

 本質的な顧客ロイヤルティ向上を実現するためには、商品・サービスを提供する従業員自身が「顧客ロイヤルティ向上」の取り組みを理解・共感し、モチベーションを持って「自発的」に行動することが非常に重要です。とは言っても、こうした理解や共感、モチベーションといった形のない心理的なものをどうしたら醸成できるのだろうか、と考えてしまいますよね。

 ここで重要な役割を果たすのが「企業文化」――その企業で働く人の価値観や意識、行動の拠り所となるものです。アメリカの顧客ロイヤルティ先進企業の多くが、従業員の「意識」に働きかけ自発的な行動を促す内的アプローチとして、自社の企業文化を「顧客中心主義に変革」していく取り組みを行っています。

 この内的・外的アプローチとは一体どのようなものか、MEDALLIA社主催のカンファレンスで聴講したアメリカ企業の事例を交えながらご紹介していきます。

「EXPERIENCE'18(MEDALLIA社主催)」イベント時の様子「EXPERIENCE'18(MEDALLIA社主催)」イベント時の様子

 アメリカのザ・ホーム・デポ(The Home Depot)は、企業文化の変革に真摯に取り組み、顧客ロイヤルティ向上に成功している代表的な企業です。カンファレンスで、ワイシャツの上にコーポレートカラーでもあるオレンジ色のエプロンを身にまとって登壇したプレゼンターは、自社の顧客中心の企業文化や取り組みについて、キラキラした目で熱く誇り高く語っていました。そんな彼の姿をみて「従業員自らがロイヤルティ向上の取り組みに意義を感じ、自発的に行動するとはこういうことか!」と強く実感しました。

 ザ・ホーム・デポは1978年創業のアメリカ・ジョージア州に本社を置く大手ホームセンターです。8年連続で売上・純利益ともに右肩上がりで成長を続ける優良企業ですが、この快進撃の背景には徹底した「顧客中心の企業文化」への変革がありました。

 もともと、創業当初のザ・ホーム・デポの経営理念にはカスタマーファーストの精神が組み込まれ、顧客の困りごとには知識豊富なスタッフが対応し親身になって相談に乗るなど、売り場での顧客コミュニケーションが非常に重要視されていたそうです。

 しかし2000年、ゼネラル・エレクトリック出身の新しい社長の就任とともに、現場に厳しい品質管理や効率性重視の仕組みが取り入れられました。徹底した数値管理のもと店舗で取り扱われる商品数は減り、経験豊富なベテランスタッフは、給与水準が低く経験の浅い(顧客の相談にのることさえ出来ない)スタッフに置き換えられていきました。

 その軍隊的な統治体制のもとでしばらくは業績が伸びましたが長くは続きませんでした。効率性重視の仕組みによって顧客の要望を顧みない企業体質へと変わってしまったことで、満足度などの顧客評価も下がり続けていったそうです。

 そこで、この状況を懸念した創業時代を知るボードメンバーが、もう一度“顧客を大切にするザ・ホーム・デポ”を復活させようと立ち上がったのです。企業理念を表す言葉として「カスタマーファーストカルチャー」を再掲し、顧客中心を具現化する組織構造を確立させ、NPSを活用して顧客ロイヤルティの向上に取り組んだのです。

 この取り組みが功を奏し、同社は非常に高い顧客評価を取り戻し、強い顧客基盤の形成に成功し、2018年現在も増収増益を実現しています。

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顧客中心の企業文化を具体化した組織構成と4つの活動指針とは?――内的アプローチ事例「ザ・ホーム・デポ」

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この記事の著者

松永 来美(マツナガ クルミ)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

玉井 由美子(タマイ ユミコ)

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山尾 理紗(ヤマオ リサ)

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佐藤 哲(サトウ テツ)

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