“出島的”な働き方をしていたから、長崎の出島に本当に行ってみた
仲山進也さん(以下、敬称略):倉成さんとは、日経さん主催の「COMEMO」イベントで一緒に登壇してからのご縁です。「会社の中で自由に働くためのとっておきの方法を語ろう」というタイトルで。僕は初対面の人と登壇するのがあまり得意じゃないんですけど、日経の桜井陽さんから「絶対に、仲山さんと気が合うはずだから」と言われて。事前打ち合わせで日経さんのロビーに行ったら、重厚感あるしつらえで、ダークスーツの人しかいなくて、「リュック背負って、カフェラテ片手にしてるオレ、やばい」と思っていたら、同じくリュックにカフェラテの人が現れて、「あ、この人だ」と思いました(笑)。
倉成英俊さん(以下、敬称略):そうでしたよね。で、名刺交換したら、2人とも会社のオフィシャルの名刺以外にも名刺持っていて、しかもどちらも正方形デザイン。
仲山:まだ話してないのに、「同じ匂いがする」という感じでした(笑)。
倉成:イベントの打ち合わせだったはずなのに、ほとんど具体的な話はせずに、「どのくらい会社に行っていますか」みたいな会話ばっかりで。
仲山:それで僕が「この間、会社行ったら、席がなくなっていたんですよー」と言ったら、倉成さんが「すげー。負けた」って(笑)。
で、僕が今年出版した『組織にいながら、自由に働く。』の中で“出島的な働き方”に触れているんですが、倉成さんから「出島みたいな働き方をしている」という言葉が出てきたんですよね。それでびっくりして。
(編集部注:最近、会社の方から「ちゃんと席ありますよ!」と教えてもらったそうです)
倉成:2009年くらいから出島っぽい部署にいたので。
仲山:最初、電通の人が「デジマ」と言うから、「デジタルマーケティングの略ですか?」って聞いたら、「いや、長崎の方の」って(笑)。出島っぽい部署って、実際どういうところなんですか?
倉成:その時の部署は「ビジネスデザインラボ」。僕はずっと広告クリエイティブ局にいて、ひたすら広告を一生懸命作っていたんですけど、ボーナスをもらう度に仲間と一緒に好きなプロダクトを作ってミュージアムショップに卸して売っていたんですね。これは、社公認の個人活動でした。そんなことをずっとやっていたら、同じようにちょっとはみ出た人たちが20人くらい集められて「クリエイティブの新規事業部を作るぞ」と。
キックオフで上長2人がした話が象徴的なので紹介すると、1人は「缶コーヒーが何種類あるか、知っていますか?」と言ったんです。「ジョージアだけで三十数種類、ボスとルーツとワンダもそれぞれ二十数種類。主要メーカーだけを足しても127種類あります。でも、ある晩、トニックウォーターを飲もうとコンビニに行くけれども見つからない。広告業界がシュリンクしているのは、本当に世の中が欲することに力を貸していないからかもしれない。これからは、時間とエネルギーをもっと世の中のために使いましょう」と。もう1人はもっと短く一言だけ。「今までと同じことはしないでください、以上」。そんな部署に9年前から僕は身を置いていたわけです。
仲山:なんて最高な部署。
倉成:で、最初は部屋も“出島的“だったんです。会議室フロアの片隅に、1室だけ鍵がかかる大部屋があって、そこがビジネスデザインラボに割り当てられて。「ここ、出島っぽいよなぁ」と話しているうちに、リアルな出島から盗めることはありそうだと思うようになり、去年、ついに行けたんですよ。行ってみたら、街全体のデザインが素晴らしくて、ものすごいインスピレーションをもらいました。