強さや知性ではなく、変化に最もよく適応した新規事業だけが生き残る
これをどう突破していくのか。小池氏は「大事なのは、本当に良いサービスであり、自信をもっておすすめできること」と語り、そうした状況はプロトタイプやワークショップなどによって、疑似体験できるような工夫を行なうことができるのではないかという。つまり、新しい体験は「体験」でしか理解しかもらえない。WHITEの場合、紙で図を書くこと、セールスシートプロトやUI・UXプロト、ストーリーボードなど、様々な「体験」を可能にする方法を提供しているという。
さらにそうしたプロトタイプのメリットは、ユーザーの反応をみることができることだ。もちろん、プロジェクトの正しさを判断するテストの意味もあるが、「すごい!」というような反応は強力な上申資料になる。同様にワークショップについても参加することで、意思決定者にプレゼン以上に様々な情報が提供できるだけでなく、意見やアイデアを反映することで自己決定のバイアスがかかり「企画がかわいくなる」という効果も得られるという。
その他、WHITEで行なう方法として、プレスリリースなどにより「実現している世界」を想像できるように伝えること、先行市場のデータやエクストリームユーザー調査などを使いながら未来の世界を想定して「自社にどんな機会損失が生まれるか」などを伝えることなどが紹介された。また戦略キャンバスなどを用いて「知っていること=既存事業」と比較したり、発展させたりすることで可視化し、理解を深める方法もあるという。小池氏は「新規事業の実現性は、未知の部分をいかに可視化できるのか、アイデアの価値をどのように伝えて、上長が自信をもって『やれ』といえる状況を作り出せるかが、大きな勝負になる」と語る。
そして最後に、「生き残る種とは最も強いものではない。もっとも知的なものでもない。それは、変化に最もよく適応したものである」というチャールズ・ダーウィンの言葉を引用し、「私たちも生活者や世の中、技術の変化を察知して捉えながら、いかに自身が変化して未知の事業として創出できるか。それを多くの人々と挑戦していけるような世界になることを望む」と語り、セッションのまとめとした。