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東京大学土屋教授と考える、ドローンの現在地と未来、都市での活用とは?

ゲスト:東京大学大学院 工学系研究科 教授 土屋 武司氏

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東京大学土屋教授と考える「ドローンの現在地」

小林乙哉氏(東京急行電鉄株式会社 課長補佐、以下敬称略):現在、東急電鉄は将来の多摩川流域のビジョンを議論するため、流域の自治体、企業、大学が参加する勉強会をはじめました。多摩川流域は都心に隣接しているにも関わらず、広大な自然環境が残っている。そこに大きな可能性があるのではないかと考え、多摩川流域を暮らしと経済の実験区「TAMA X(タマ クロス)」と名付けて、ホームページでビジョンを公開したり、社会実験を行ったりしています。

佐宗邦威氏(株式会社BIOTOPE代表、以下敬称略):そこで多摩川流域がドローンの実験場になるのではないかと話しています。土屋先生は航空機を安全に飛ばすための「フライトコントローラー」や、故障が起きて飛行機が正常動作をしなくなった時の耐故障飛行制御を研究なさっていて、15年ほど前からドローンの研究を始められたとお聞きしています。昨年は、長野県伊那市で、ドローン活用の検証実験もされていますよね。

土屋武司氏(東京大学大学院工学系研究科教授、以下敬称略):国土交通省の補助金を受けてやっていた研究ですね。簡単に言えば、ドローンを物流に活用する実験です。陸路を使うと物を運ぶのが大変な場所ではドローンを使って運ぶという活用方法が考えられるのですが、そのためには物流用のシステムを整備する必要があります。

 ドローンの安全な離着陸をサポートするためにドローンポートにWi-Fi電波発生装置を設置したり、ポート周辺のリアルタイムの風速・風向きを予測するシステムを入れたり、システムへの第三者の侵入を検知したり、水平誤差50センチ以下でドローンの離着陸をしたり。そういった検証実験を、湖の上でドローンを飛ばすことによって行いました。

佐宗:物流以外ではどんな活用方法が考えられるのでしょうか。

土屋:テレビなどの映像でドローンによる空撮をよく見るようになりましたが、たとえば比較的低い高度で撮影できるので、山野を飛ばして撮影すると葉っぱの1枚1枚がよくわかるんですね。そのデータを人工知能と組み合わせ、植生や栽培状況を自動化して判定するということもできます。

 また、赤外線カメラ等を組み合わせて屋根やソーラーパネルの異常を検知するのに活用することも。自然災害時に橋脚など危険がある場所にドローンを飛ばして安全性を確認するということもできます。

土屋 武司東京大学 大学院工学系研究科 教授 土屋 武司氏
航空宇宙工学専攻所属。航空機の飛行力学及び飛行制御に関する教育研究に従事。理論面では、制御理論、最適化理論、複合領域最適化を研究。応用面では、航空機の飛行安全向上(落ちない飛行機)及び効率化に向けた研究、マッハ5で飛行する極超音速機の研究、将来宇宙輸送システム(宇宙まで飛行できる飛行機、スペースプレーン)、飛行ロボット(ドローン,固定翼無人機,マルチコプターなど)の研究開発、将来の航空交通管制システムの研究,等々。これらの研究は、民間企業、JAXA等研究機関、各大学と共同で進めている。日本航空宇宙学会(フェロー、理事)、日本機械学会(元交通・物流部門長)、計測自動制御学会、 AIAA (American Institute of Aeronautics and Astronautics) 等でも活動中。2000年同専攻修了、博士(工学)。同年、航空宇宙技術研究所(現在のJAXA)研究員。2002年同専攻専任講師、2007年助教授(後に准教授)、2015年より現職。

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