ソフトバンクが描く、新規事業の取り組み
──まずは、ソフトバンクグループ全体での新規事業の取り組みに関して、教えてください。
佐橋宏隆氏(以下、敬称略):ソフトバンクは、ソフトバンク・ビジョン・ファンド(以下、SVF)の投資先とJVを立ち上げて日本で新規事業を創出することに注力しています。一方で、当社が取り組むのは、「ソフトバンクイノベンチャー」という、ソフトバンク社員などから新規事業のアイデアを募集する新規事業提案制度を通した0→1の新規事業の創出です。
──では、ソフトバンクでのSBイノベンチャーの役割、位置づけはどのようなものになるのでしょうか。
佐橋:当社の役割は、従業員発のアイデアを事業化し、利益を生み出す会社としてスケールさせることと、社内起業家の育成支援です。2011年から「ソフトバンクイノベンチャー」という新規事業提案制度をスタートしています。これは、ソフトバンクグループとして2010年に発表した「新30年ビジョン」における「戦略的シナジーグループ5,000社」の実現に向け、0→1のアイデア、新規事業を従業員から募集するものです。事業を創る意思のあるグループ内の従業員が、内定者も含めて参加しています。
──SBイノベンチャーの組織体制、佐橋さんの役割などを教えてください。
佐橋:当社の代表取締役は、ソフトバンク株式会社の専務執行役員でCHRO (最高人事責任者)の青野(史寛)です。私は事業推進部の部長として、新規事業提案制度の事務局業務に従事しています。
──佐橋さんは、以前はどのような業務に就かれていたのでしょうか?
佐橋:2004年にソフトバンクBB株式会社(現ソフトバンク株式会社)に入社し、人事部門に配属になりました。2009年ソフトバンク株式会社(現ソフトバンクグループ株式会社)社長室へ異動し、いわゆる経営戦略の業務に携わりました。その後、出向先での事業立ち上げを経験し、2014年から現在の業務に就いています。
──佐橋さんや青野さんは人事や経営戦略などのコーポレート部門ご出身ですね。このような経歴を持つ方々が組織を運営されている意図はどのあたりにあるのでしょうか。
佐橋:この制度の目的は、大きく2つあります。1つはソフトバンクから「0→1の事業を創出すること」。もう1つは「事業を創る人をつくる」ことです。自社内から事業を創っていく人材を育成する、社内起業家文化を根付かせる意図もあり、人事や経営戦略畑の青野や私がSBイノベンチャーを運営しています。