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意思決定プロセスを変革するOKRとは?

葉村さんが実践してきたビジネスサイドのOKR導入──“数値目標”と“7割達成”の共存とは?

第5回 特別対談 ゲスト:葉村真樹さん【前編】

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 これまでの連載では、OKRについて教科書的に整理してきました。そこで紹介した基本を踏まえ、堀江真弘さんがOKRを実践してきた方たちに話を聞いていきます。今回はGoogle日本法人、Twitter日本法人、LINEなど国内外の企業でビジネス部門のマネジメント経験があり、現在は東京都市大学総合研究所・大学院総合理工学研究科教授とPanasonicのビジネスイノベーション本部事業戦略担当を務める葉村真樹さんに、日本企業がOKRを取り入れる際に持つべき観点を伺いました。  Google、TwitterといったOKR導入企業を経て、LINEで自分の部門にOKRを持ち込んだ葉村さんが、ビジネスサイドからOKR導入・運用の注意点を、前後編に分けてご紹介します。  なお、本インタビューは葉村さんがLINEに在籍していた3月11日に行っています。

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OKRにおけるオブジェクティブの本質は“存在理由”を定義すること

堀江真弘さん(以下、敬称略)及川さんとの対談では、エンジニア側からみたOKRについてお伺いしました。今回はGoogleやTwitterを経てLINEでOKRを導入・運用されていた葉村さんに、ビジネスサイドからみたOKRについて伺っていきます。

葉村真樹さん(以下、敬称略):最初にお断りしておきますが、LINEは全社的にはOKRを導入しておらず、私の部署だけでテスト的に導入していました。なので、全社導入についてはGoogleやTwitterの経験を、部門導入についてはLINEでの経験をお話します。

堀江:LINEでは部門単位での導入だったのですね。部門単位に絞ってでもOKRを導入したのは、どのような理由からでしょうか。

葉村:マネージャーから末端の社員まで、自分がなぜこの会社に存在しているか理解してほしかったからです。業績管理というよりは、個人の育成・成長に重きを置いて運用していました。四半期ごとの振り返りを通して、自分の仕事が何のために存在しているのかを全員に自覚してもらうようにしていました。

堀江:自分の仕事が何のために存在しているか。

葉村:そうです。リクルート出身の人たちには、OKRの考え方がすぐに伝わりました。というのも、リクルートの企業文化である“Why are you here(あなたは、どうしたい?)”は、まさにOKRのオブジェクティブ(Objective、目的やありたいビジョンを表現する)を指しています。オブジェクティブの本質は、世の中における会社、部門、チーム、そして個人の存在理由を定義することなので、リクルートの企業文化とは親和性が高いのでしょう。

堀江:なるほど。ある種抽象的な目線で導入をされたのですね。ちなみに、リクルート以外の方はどのような反応だったのでしょうか?

葉村:OKRはなかなか理解されなかったですね。それは、KPIで目標を管理してきた社員たちは、数値目標を設定され、向かう方向を指示されることに慣れているからだと思います。

堀江:そもそも数値目標自体が先にあり、その仕事が何のために存在するかを意識しなかったということですね。

葉村:GoogleやTwitterで働いていたときには、社員が自分の仕事が何のために存在しているかを把握していないことは考えられませんでした。それは、“お上の御沙汰”が根付いている日本文化と、“神から与えられたミッション”が根付くキリスト教文化の違いなのかもしれません。

堀江:文化によってOKRの受け取り方が異なるとすると、Googleであっても、国によっては理解されず運用しづらい国もあると思いますがいかがでしょうか。

葉村:私が昔所属していたGoogle Japanでも、OKRはわかりづらいと評判でした。数値目標を達成しようと働いてきたのに、OKRの「7割の目標達成」とはどういうことなんだということです。

堀江:よくある悩みの1つです。

葉村:これは“7割”という表現に問題があると考えています。そうではなく、“何のために存在しているか”をオブジェクティブで表し、KRに対応するKPIを紐づければいいわけです。会社全体が設定するOKRのKRに紐づくこの数字をマーケティング部門、この数字を営業部門と因数分解をしていくのです。

堀江:7割の達成率の問題は、オブジェクティブで、野心的に新たな価値を生み出そうとした場合、必然的にこれまで達成できたKPIとは異なるチャレンジが必要になることだと思います。それをマーケティング部門や営業部門に分解していくと、できるかできないかわからないため、7割達成程度になるということですね。

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