データ活用全盛の時代だからこそ、人間の“意志”や“野望”が重要になる──ブレインパッド内でのOKR運用
ブレインパッドは、全日本女子バレーボールの戦況予測から金融取引の不正検知、不動産物件画像の自動仕分けや大型商業施設のマーケティング分析など、多岐にわたる分野に対してAI/データ解析技術を活用して支援する企業である。
そのブレインパッドが自社プロダクト開発・提供部門においてOKRを導入した理由を、上川氏はこう話す。
AIやデータ全盛の時代だからこそ、意志や夢、野望がより重要になります。データによって可視化できる予測可能な成長度合いよりも高い伸びを、人間の意志や行動によって“起こす”ことができるのです。
OKR導入以前には、上川氏が所属する部門ではいくつかの課題を抱えていたという。各部署で共通の目標に向かって協働ができない。他部署が何をやっているのか分からない。権限委譲ができない。部門目標に紐付いた部署目標が設計されていない。目標設定をしても、期中の振り返り・改善があまりされない。こういった問題があったのだ。
そこでOKRを導入したものの、最初から順調に運用できたわけではない。たとえば、当初はBiz部門(マーケティング、セールス、コンサル、サポート)とDev部門(プロダクト企画、開発、運用)に分けてOKRを設定していた。それは、直近の売り上げや利益を向上させるために取り組むBizと、将来の売り上げ・利益のために取り組むDevでは、別々の運用にした方がいいと考えたからである。しかし、OKRを分けてしまったため、共通の目線を持つことが困難であった。そこで、今期からBizとDevの上位に共通のOKRを設定して運用をしている。
また、BizとDevそれぞれのOKRにも問題があった。
Bizでは、OKRがKPIの進捗を追うダッシュボードのような使い方になってしまった。そこでダッシュボードは分けて再整備し、「野望」「やりたい」と思えることをOKRで管理することにした。
Devでは、プロダクトマネージャーがOKRを策定した結果、開発メンバーから共感を得にくく、また作る対象機能を列挙した結果、OKRが開発計画・ロードマップのようになってしまった。そこで、素案をプロダクトマネージャーが策定し、開発メンバーとすり合わせながらまとめることにし、ロードマップは別途整備することにした。
このように、日々工夫しながらOKRを設計・運用した結果、「課題の見える化」につながり、「やらない」、「やらなくていい」ことを意識することにつながったと上川氏はまとめた。