テクノロジーと人間社会との関係を理解するために「リベラルアーツ」が必要
山口:最後に再び「テクノロジー思考」の話に戻りますが、スティーブン・ジョンソンという僕が大好きな著述家が、テクノロジーの歴史がどう世界を変えたか、という本を書いています*1。
例えば、グーテンベルクの活版印刷が生まれて世の中に本が出てきた結果、自分が遠視であることに気づく人たちが大量に出てきて、そこから眼鏡の需要が高まるんです。そうすると、今度はレンズを磨く技術が発展し、それが望遠鏡や顕微鏡の発明につながっていく。予想もつかない方向に技術が波及して、足並みが揃ったときにポンとイノベーションが起こる様子が描かれていて、とても面白いんです。